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第18回 拘置所生活概略

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 朝の点検が終了すると朝食になり、曜日によっては午前中に入浴や運動がある。それ以外のときは、昼寝(「午睡」という)時間以外、留置場と違って横になることはできない。未決はできる限り、つまり逃亡のおそれがない限り、自由にさせるべきだと思うのだが、なぜだかはわからない。安座又は足を投げ出して座ってなければならない。ふと壁を見やると、そこだけ壁が汚れているというか、すすけている部分がある。これまでの居室利用者が、背中を預けているのである。
 私も壁に背中を預けて座っていたが、それでも腰を痛めてしまった。その反省を生かして、二度目のときには自前で座布団を購入した。ごく普通の座布団であるが、ペラペラの官支給の座布団よりはるかにましである。

 9時になると、スピーカーから室内体操のナレーションと音楽が流れてくる。午後3時も同様である。室内でしかも座ったままの体操ということらしく(冊子があってそこに体操が図示されている)、大した運動にはならないから、ほとんどやらなかった。

 昼食後の1時から3時までは「午睡」タイムで、毛布を出しての昼寝が許されている。私は二度拘置所に入ったが、いずれも冬であり、毛布2枚を出して横になっていた。一枚を掛けて、もう一枚を敷布代わりにしたら、禁止だということで注意を受けた。昼寝ということで、完全に寝てしまう人もいるのだろうが、私は横になっても寝ることはしなかった。9時という早い時間の減灯でそうそう寝入ってしまうわけもなく、加えて昼寝なぞしたら夜に眠れなくなって、いろいろと考えてしまうのが嫌だったからである。

 冬季では夕食後の午後6時には仮就寝となる。これは完全に布団を敷いて横になれるもので、そのまま寝てしまってもいいし、横になったままで本を読んだりしてもよい。みんなそうだと思うが、「仮就寝」との声が掛かると、さっさと横になっていた。前にも書いたがあまりにも寒いからだ。

 ところが、布団に入れば寒くないかといえばそうでもない。布団それ自体が冷え切っており、布団に潜り込むと余計に寒いのである。これが辛い。布団の中で自然と体が震えてくる。布団と布団で冷え切った体が自身の体温で温まってくるまで、流れてくるラジオを聴きながら、じっとしているしかない。だいたい1時間くらいだろうか、温まってきたところで、本を読み始まるとすぐに減灯時間となる。

 減灯時間の9時となると、ラジオが切られて琴と尺八の合奏曲が流れてくる。聞いたことのある曲だが「五木の子守唄」だっただろうか。一日の終わりにあたっての琴と尺八の悲しい音色は、反省の機会を与えるには十分な効果があるように思える。これが終わると、朝と同様の女性の声で「今日も一日お疲れ様でした。お休みなさいませ」と流れ、山中の宮崎拘置所は、何の物音もしない静けさに包まれる。

 ちなみに年末は、紅白歌合戦を聞き、ゴーンという鐘の音をバックに「ここは永平寺門前です。老若男女が雪の中を・・・」などというナレーションで始まる「行く歳来る歳」が流れ、午前0時の時報で先ほどの琴と尺八の合奏となり、一日だけでなくその年が終わる。(つづく)

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第18回 拘置所生活概略

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