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これからの10年、日本が直面する問題とは?

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 2012年に開講した、朝日新聞×集英社が仕掛ける連続講座「本と新聞の大学」。第3期となる今回のテーマは「これからの日本の一〇年を展望する――東京オリンピック後の日本を見据えて」。

 2020年に東京オリンピックという一大イベントも控えている日本。同時にこれからの10年では、さまざまな問題――人口の収縮と少子高齢化、老々介護と孤独死、労働力人口の減少と産業構造の転換、天文学的な数字の債務と予想される消費税の引き上げ、地域格差と世代間格差、ワーキングプアと貧困の連鎖、原発問題、憲法改正問題など――を抱えていることも、また事実です。

「本と新聞の大学」第3期の模様を書籍化した、本書『日本の大問題「10年後」を考える』では、こうした問題を前に、一色清さん、姜尚中さん、佐藤優さん、上昌広さん、堤未果さん、宮台真司さん、大澤真幸さん、上野千鶴子さんらが、それぞれ「反知性主義」「深刻な医師不足」「沈みゆくアメリカ」「感情の劣化」「戦後日本のナショナリズム」「看取り難民」というキーワードを中心としながら、講義を繰り広げていく様子が収録されています。

 社会学者である大澤真幸さんは、現在の日本の状況を「沈む前のタイタニック号」という喩えを用いることで、わかりやすく解説しています。

「あと三〇分後にはタイタニック号が沈むことはわかっている。しかし、タイタニック号の外に出ても、極寒の海です。だから、三〇分後に確実に死ぬことがわかっているのに、船にしがみついているような状態です」(本書より)

 そして、このような状況下で、人は幻影を見るのだといいます。遠くに助けに来てくれた船があるように見えるが、実はそれは助かりたいという気持ちが生んだ幻想、幽霊船。この幽霊船にあたるのが、東京オリンピックなのだといいます。

 東京オリンピックがあるのだから、それまでは何とかなる、あるいは東京オリンピックで何とかなるという考え。しかしそれは幽霊船のようなものなのだと指摘。そのうえで大澤さんは、次のように呼びかけます。

「僕らの社会、現在の日本について、もうこれしかないと僕らは思っているけれども、しかし、そうなのか。今の船に乗っていたって、タイタニック号なんだから早晩沈む。蜃気楼のような幽霊船を見ている場合ではない。そうすると、今本当はいくらでも選択肢はある」

 そして、その具体例のひとつとして日米関係をあげ、「前提の日米関係というものを外せば、中国とどうするかということも全部変わってきます。それだけで、僕らが今まで思ってもみなかった選択肢はいっぱい出て」くると指摘します。

 日本が直面している、さまざまな問題とはいったい何なのか。そして、それらの問題を前にして、一人一人は何を考え、行動していけばいいのか。思考のきっかけ、多くのヒントが散りばめられた一冊となっています。

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