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西伊豆感電事故で柵の設置者の予見可能性が問題に

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 今月西伊豆町の川で7人が獣害防止の電気柵に次々と感電し、男性2人が死亡するという痛ましい事故が起きました。事故発生から約1週間が経過し、事故の内容が明らかになってきました。報道では電気事業法などの問題があると言われていますので、今回はこれらについて見てみたいと思います。

 電気柵は、日本においては電気事業法に基づく電気設備に関する技術基準を定める省令により規制されています。省令74条には、電気柵は(省令の中では「電気さく」と書かれています。)

(1)田畑、牧場、その他これに類する場所
(2)野獣の侵入又は家畜の脱出を防止する目的
(3)感電又は火災のおそれがないようにする
という条件をみたした場合に限り、使用することが出来るとされています。

 省令74条に関する経済産業省の解釈では、さらに、

(1)施設した場所には、人が見やすいように適当な間隔で危険である旨の表示をすること
(2)感電により人に危険を及ぼすおそれのないように出力電流が制限される電気さく用電源装置を用いること
(3)使用電圧30V以上の電源から電気の供給を受け、かつ人が容易に立ち入る場所に電気さくを設置するときは、漏電遮断器(ブレーカー)を設置すること
(4)容易に開閉できる箇所に専用の開閉器(スイッチ)を設置すること
を求めています。

 今回は、規定の電源装置も使用せず、漏電遮断器も設置していなかったという状況なので、(3)の要件をみたしていません。さらに、設置されていた場所が河川敷であり、省令の(1)の要件もみたしていないと考えられており、電気事業法違反の可能性が極めて高くなっています。

 また、今回は刑法の重過失致死傷罪(刑法211条)も成立する可能性があります。重過失致死傷罪は、重大な過失により人を傷つけたり死亡させることをいい、その注意義務違反の程度が著しいことをいいます。法定刑は5年以下の懲役若しくは禁錮、又は100万円以下の罰金と定められており、過失傷害罪の法定刑が30万円以下の罰金又は科料となっていることに比べるととても重くなっています。

 過失犯が成立するためには、「予見可能性」があることが必要です。今回柵が設置された場所は、あまり人が立ち入る場所ではなかったという報道もあります。設置者に感電事故の発生が予見できたといえるかどうかで、罪が成立するか否かが決まります。

 今回のケースを受けて、電気柵に対する不安の声が広まっていますが、全国で約70万件の電気柵が設置され、日本で電気柵が使われてから60年以上になりますが、適正な電気柵で感電死した事故はないとのことです。
 電気柵は、近年増え続ける獣害対策に欠かせない設備となっており、自治体によっては、適正な電気柵を設置するにあたり補助金を交付したり、設置後、定期的に職員が立ち会うことで、安全対策の指導を行ったりしているそうです。

 通常は、誤って電気柵に触れても冬場の静電気程度のショックといわれており、むやみに怖がる必要はありませんが、これからの季節、レジャーで出かける際には、獣害に困った方々が対策をとっていることもあるということを念頭に入れて、注意して行動することも大切です。

元記事

西伊豆感電事故で柵の設置者の予見可能性が問題に

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