今週の永田町(2015.7.22~7.28)

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【安全保障関連法案、参議院で審議入り】

 先週24日、平和安全法制整備法案と国際平和支援法の安全保障関連2法案を審議する「わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」を設置する議決が、参議院本会議で行われ、与党や民主党、維新の党などの賛成多数により決まった。

参議院本会議後に開かれた特別委員会で、鴻池祥肇・元参議院予算委員長(自民党)が互選により同委員長に選出された。筆頭理事には、佐藤正久・自民党国防部会長<与党側>が、北沢俊美・民主党安全保障総合調査会長がそれぞれ就任した。

 特別委員会は委員45人で構成し、与野党の全11会派から委員を出すことになった。自民党が20人(理事5人)、民主党が11人(理事2人)、公明党が4人(理事1人)、維新の党が2人(理事1人)、共産党が2人、その他6会派はそれぞれ1人が割りあてられることになった。

 

 *衆参両院の本会議や委員会での審議模様は、以下のページからご覧になれます。

衆議院インターネット審議中継参議院インターネット審議中継

 

特別委員会の開催日などをめぐって、与野党の協議は平行線のままだ。民主党など野党側は、定例日(月・水・金曜日)が設けられていた衆議院と同様に、参議院でも原則として週3回の定例日を設けて特別委員会を開催すべきと主張している。

これに対し、遅くとも9月前半には関連2法案を採決のうえ成立させたい自民党は、定例日を設けずに連日審議を行っていきたと主張している。参議院送付から60日経過しても関連2法案が採決されない場合には衆議院本会議で3分の2以上の賛成により再可決することができる「60日ルール」(憲法第59条)を適用してでも通常国会中に成立させる方針だが、衆議院で主要野党が欠席するなか採決を行ったことに世論が反発したこともあって、強引な国会運営はでき限り避けるべきとの声が与党内からでている。特別委員会の鴻池委員長も「衆議院の下請けでない審議をしっかりと行い、国民の理解を得ていきたい」と、60日ルールを適用せず、適用可能な9月14日より前に結論を出したいとしている。

 

与党は、参議院で与党にも十分に時間を確保して、政府側から安全保障法制の意義や抑止力を強化する必要性などに重点を置いて、国民に分かりやすい丁寧な説明を引き出していく方針だ。27日の特別委員会理事懇談会での協議で、週4日ペースで特別委員会を開催することを提案した。しかし、審議未了のまま廃案に追い込みたい民主党など野党側が、週3回の定例日を設けることを改めて主張しため、折り合うに至らなかった。

一方、野党側は徹底審議を求め、衆議院の審議時間(116時間30分)と同程度の審議を確保していきたい考えだ。共産党や社民党などと成立阻止で共同歩調をとる民主党は、蓮舫代表代行や福山幹事長代理のほか、大塚耕平・小川勝也・小川敏夫・大野元裕、小西洋之らベテラン勢が委員となって、引き続き集団的自衛権行使の違憲論などを前面に押し出して対峙する構えだ。維新の党は、政府案の対案をとりまとめた小野次郎・党安全保障調査会長を理事に充てたほか、片山虎之助参議院議員会長が委員として論戦に臨む。

 

 

【参議院での与野党論戦がスタート】

 27日、参議院本会議で趣旨説明と安倍総理らに対する質疑を行い、関連2法案は参議院で審議入りした。その後に開かれた特別委員会では、関連2法案の趣旨説明が行われた。本会議では、まず中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣が「わが国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、米国軍への後方支援活動など、わが国が実施する措置を定める必要がある」と関連2法案の趣旨説明を行った。そのうえで、自民党と公明党、民主党、維新の党、共産党の5党が質問に立ち、安倍総理らがこれに答弁した。

 

安倍総理は「北朝鮮は日本の大半を射程に入れる数百発の弾道ミサイルを配備し核開発をしている。東シナ海では中国公船が領海侵入を繰り返し、南シナ海では埋め立てや施設建設を一方的に強行している」「わが国の安全保障環境は厳しさを増している。どの国も一国のみで自国を守れない」などと安全保障環境の変化などを指摘したうえで、「政府はあらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う責任がある。平和安全法制はそのために必要不可欠」「憲法9条の範囲内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために不可欠な法案」「国際法上、完全に合法で正当性がある。憲法の制約のもと、諸外国と比べ極めて抑制的な内容」などと、関連2法案の必要性を改めて強調した。

 

これに対し、民主党や共産党は、集団的自衛権行使の限定容認を盛り込んだ関連2法案は憲法違反であり廃案にすべきと主張した。北沢俊美・民主党安全保障総合調査会長は「憲法違反の法律案と、立憲主義を理解しない総理」「憲法解釈の変更という抜け道を選び、覇道をまい進している。憲法の法的安定性は大きく損なわれている」「あなたに未来の民意を独占する資格はない」「国民も政府説明のまやかしに気づいた」などと厳しく批判した。共産党の市田忠義副委員長も「クーデターともいうべき法体系の破壊」「集団的自衛権が戦争を未然に防ぐというのは欺瞞」などと批判した。

 維新の党の小野次郎安全保障調査会長は、衆議院採決を「強行採決」だとして政府・与党の姿勢批判で民主党や共産党と足並みをそろえつつ、集団的自衛権を行使できる日本の存立が脅かされる存立危機事態について「国際法の通説では自国防衛は個別的自衛権、他国防衛は集団的自衛権。自国防衛のための集団的自衛権の行使という考え方は、自己矛盾に陥っている」と訴えた。

 

こうした集団的自衛権行使の限定容認は違憲との批判に、安倍総理は、必要最小限度の自衛措置に言及した1959年の最高裁砂川事件判決を挙げて「判決と軌を一にする政府の憲法解釈の基本的論理の範囲内のものであり、憲法に合致したもの。法的安定性は確保されている」「法体系の破壊との指摘は当たらない」などと反論したうえで、自国への攻撃に反撃する個別的自衛権行使のみを認めた現行法について「もはやわが国の存立を全うするための対応はできない」とし、「存立危機事態における武力行使は、他国に対して発生した武力攻撃に対処するもので、国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」と述べた。

 

 集団的自衛権行使の具体例としてきた中東・ホルムズ海峡の機雷掃海がイラン核問題で関係国が合意したなかで現実的ではなくなっているとの指摘に対し、安倍総理は「特定の国がホルムズ海峡に機雷をまくことを想定しているわけではない。あらゆる事態に万全の備えを整えることが重要だ」と答弁した。

また、自衛隊の後方支援で「兵站活動を行えば相手の攻撃対象となることは明らかで、攻撃を受ければ応戦し戦闘になる。他国民を殺すことになれば日本国民も憎悪の対象となる」(共産党の市田副委員長)との批判には「後方支援は武力の行使に当たらない活動。日本国民が憎悪の対象となったり、国民が脅威にさらされたりするとの指摘はあたらない」と反論した。このほか、政府が改正案10本を一括した平和安全法制整備法案として提出したことが問題視されていることについて「一つの体系を形づくっており、10本にばらして出し直すなど再提出する考えはない」と明言した。

 

 

【礒崎総理補佐官の発言も焦点に】

 28日には特別委員会で、安倍総理出席のもと総括質疑が行われた。特別委員会での質疑時間の配分をめぐって、質疑時間を参議院の議席割合に応じて4対6程度にしたい与党側と、与党の質疑時間を増やすことに否定的な野党側との駆け引きが続いている。総括的質疑は、与党が野党に配慮して、与野党の時間配分を3対7で行うことになった。29日に特別委員会で総括的質疑を、30日に集中審議を開催する予定で、参議院の特別委員会を舞台に与野党論戦が本格化する。

 

安倍総理は、中国の強引な海洋進出、北朝鮮の弾道ミサイル・核開発などに警戒感を示したうえで、「あらゆる事態に対処するための十分な準備を行うため、一日も早い平和安全法制の整備が不可欠。それによって切れ目のない対応ができるようになる」「切れ目のない平和安全法制を整備し、日米同盟が揺るぎないものであることを内外に示すことで、日本の平和と安全を守り抜いていく」と、関連2法案の速やかな成立に改めて意欲を示した。そして、「野党も対案、独自案を提出してもらい、できる限り一致点を見いだす努力を重ねることが、与野党を問わず政治家に課せられた責務」と、民主党など野党に建設的な対応を求めた。

 中谷大臣は、中国による南シナ海の大規模な岩礁埋め立てについて「中国は軍事利用を公言しており、軍事施設を建設する可能性がある。わが国の安全保障への影響は否定できない」と説明した。また、東シナ海でのガス田開発について「レーダー配備やヘリ展開のため利用する可能性が考えられる」とし、「情報収集に支障を来さない範囲で公表できるものは公表していく」と述べた。

 

 民主党など野党は、憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を限定容認したことの是非や関連2法案の憲法9条との整合性、他国軍に対する後方支援を拡大し戦闘現場により近い場所で支援が可能となることで自衛隊のリスクが拡大することなどについて追及した。福山哲郎・民主党幹事長代理は、1972年見解の基本論理を維持しつつ見解あてはめを変更したとする政府側の答弁に「これが法的安定性を損なうことではないか」「ご都合主義のあてはめの論理」などと非難した。

 また、歴代法制局長官が過去の国会答弁で否定したことを紹介し、「戦後70年の法的安定性を崩す。憲法を改正して国民に堂々と国際環境の変化を訴えるべきだ」と追及した。横畠内閣法制局長官が衆議院で行った集団的自衛権行使に関する答弁は全部無効と断じ、「解釈変更を許したことは万死に値する。(横畠長官は)辞任した方がいい」とも述べた。

 

 さらに、礒崎総理補佐官が26日、関連2法案を違憲と主張している野党への反論として「我が国を守るために必要な措置かどうかを問題にすべきで、法的安定性は関係ない」と、野党が憲法解釈を変更した場合に法的安定性が保たれる必要は必ずしもないとの認識を示したことをめぐって、野党側は「法的安定性を軽視するような発言だ」と批判した。

安倍総理は「法的安定性を確保することは当然」としつつも、礒崎発言が平和安全法制を議論するうえで、憲法との関係とともに、わが国を取り巻く安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるとの認識を示したもの」だったと説明した。民主党などが礒崎総理補佐官の更迭を求めているが、安倍総理は「菅官房長官から注意している」と述べるにとどめた。菅官房長官は「誤解される発言は慎まなければならない」としつつ、礒崎発言は「法的安定性を否定したものではない」「法制は憲法9条の範囲内で、法的安定性に何の問題もない」と説明し、野党が求める辞任要求は「全く当たらない」との考えを示した。

 

 野党側が27日の特別委員会理事懇談会で礒崎発言を問題として取り上げたため、鴻池委員長は、自民党理事に発言の真意などを礒崎総理補佐官から聴取のうえ、28日に報告するよう求めた。自民党は、礒崎総理補佐官が「私の発言で国民ならびに委員会運営にご迷惑をおかけし、心から反省をしおわび申し上げる」と謝罪するとともに、「いずれにしても法案の内容について十分議論することが大事だ」と述べたと、28日の特別委員会理事会で報告した。民主党は「余計なところから余計な言葉が出てきたから注意しているのに、審議の内容にまで言及するのは言語道断」「反省の色がない」などと批判して、反発を招いた。鴻池委員長は「もう一度、礒崎氏に注意を与えるように」と自民党理事に再度求めた。

 政府・自民党は、礒崎総理補佐官の陳謝で早期に沈静化を図りたい考えだ。しかし、「政府の説明を根底からひっくり返すようなこと。安倍総理の本音を代弁するか勘ぐりたくなる。徹底的に追及していきたい」(民主党の高木国会対策委員長)、「その時々で中身や解釈が変わる恣意的な法律があっていいわけがない。更迭した方がいい」(民主の榛葉参議院国対委員長)、「安倍総理がオウンゴールを繰り返す応援団と心中するならそれでいいが、そうでないなら任命権者として考えた方がいい」(維新の党の柿沢幹事長)などと批判を強めている。礒崎総理補佐官の参考人招致を民主党が要求するなど、野党各党は、引き続き国会で追及する構えだ。

 

 

【参議院選挙制度改革関連法案が成立】

 議員1人あたりの人口格差(1票の格差)是正に向けた参議院選挙区制度改革をめぐっては、23日、自民党と野党4会派(維新の党・次世代の党・日本を元気にする会・新党改革)が「10増10減」案を柱とする公職選挙法改正案を参議院に共同提出した。

同法案は、有権者数の少ない「鳥取・島根」「徳島・高知」を合区(定数4議席から定数2議席に)するほか、5選挙区(北海道、東京、愛知、兵庫、福岡)で定数を2議席ずつ増やす一方、3選挙区(宮城、新潟、長野)で定数を2議席ずつ減らす。合区される選挙区に県選挙管理委員会で構成する参議院合同選管を新たに設置するほか、選挙運動では特例を設けて選挙事務所数や新聞広告回数などを一般の選挙区の2倍分を認めるとしている。

また、大規模な合区に自民党が反対したことから、今回の改正案を抜本改革までのつなぎと位置付け、改正案付則に「2019年参院選に向け、選挙区間の議員1人あたりの人口の格差の是正等を考慮しつつ、選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討し、必ず結論を得る」と明記された。

 

 24日、10増10減案は、公明党・民主党・無所属クラブ・生活の党が共同提出した、20選挙区を合区して10選挙区に再編し、その分を1票の価値が低い6選挙区(兵庫県や東京都など)に振り分ける公職選挙法改正案とともに参議院で審議入りした。参議院選挙制度改革を早期に実現させる必要があるとの判断から、参議院政治倫理・選挙制度特別委員会の審査を省略して参議院本会議に上程された。

参議院本会議では、公選法改正2案の趣旨説明と与野党による質疑が行われた。維新の党の片山参議院議員会長は、10増10減案の提出理由について「都道府県単位の選挙制度が地方の意見を国政に反映させる重要な役割を果たしたことを十分踏まえつつ、憲法が求める投票価値の平等の要請に応える」と説明した。自民党の鶴保参議院政策審議会長は、将来的に憲法改正で都道府県単位の選挙区に戻す必要性にも言及した。

一方、合区などにより最大格差1.95倍に縮小させる20県10合区案を国会提出した公明党と民主党は、10増10減案により昨年11月の最高裁判決で違憲状態とされた2013年参議院選挙の最大格差4.77倍から2.97倍に縮小するものの、直近の住民基本台帳人口(今年1月1日現在)では最大格差3倍を超えるとして、「憲法が求める投票価値の平等に応えるには不十分」(公明党の西田参議院幹事長)、「2倍を超える格差は許容されない」(民主党の羽田参議院幹事長)などと批判した。

参議院本会議での質疑後に行われた採決では、10増10減案が自民党と野党4会派の賛成多数により可決され、衆議院に送付された。10増10減案が先に可決されたことから、20県10合区案は採決されなかった。

 

衆議院では、28日、政治倫理・公選法改正特別委員会で10増10減案が審議・採決され、その後、衆議院本会議で自民党や維新の党などの賛成多数により可決、成立となった。合区に不満を示していた合区対象4県選出の4閣僚は、都道府県単位の選挙制度の維持を訴えつつも、10増10減案を憲法の要請に応える緊急措置と位置付けて賛成の立場を表明した。一方、1票の格差を2倍未満にすることを主張してきた公明党や民主党は、憲法の要請に応えていないとして、衆議院でも反対票を投じた。

 最大多数の議席を占める自民党が参議院選挙制度改革で後手に回り続けたことで、自民党と公明党が異なる採決となったことや、合区対象4県(鳥取、島根、徳島、高知)選出の自民党議員が本会議場を退席して棄権または欠席する事態を招いた。自民党と公明党の幹部らは、連立関係に影響しないと述べているものの、公明党内には自民党への不信感や不満が渦巻いている。また、自民党内で合区対象県の所属議員らを中心に合区への反発が出てもなお、自民党執行部は合区に反対する自民党議員を納得させるだけの具体策を提示することができず、党議拘束をかけて採決に踏み切った。

自民党執行部は、衆参両院で造反した所属議員の処分を見送る方針でいる。谷垣幹事長は、合区対象4県選出の自民党議員などが合区により候補が出せなくなる県の候補に対する救済策を早期に示すよう求めていることを踏まえ、「裏切るようなことはない」と、近く具体案を示すことを約束している。ただ、執行部が示す救済策によって、来年夏の参議院選挙を前に自民党内で再び紛糾する恐れもあり、どのように決着をつけるかが課題となりそうだ。

 

 

【引き続き与野党攻防の動向に注意を】

与野党は、幹事長・書記局長会談を27日に開き、与党が衆議院で安全保障関連2法案の採決に踏み切ったことで野党が反発し、空転のまま休止していた衆議院審議を28日に再開することで合意した。民主党の枝野幹事長などから「採決には納得できない。今後こうしたことがないよう円満な国会運営に努めてほしい」などの要求があったのに対し、自民党の谷垣幹事長は「できれば各党参加で衆議院採決をしたかった。参議院の議論が実りあるものになるようにしたい」と釈明した。

 

与野党の幹事長・書記局長会談では、野党の要求により、衆議院予算委員会で安倍総理が新国立競技場の建設計画を白紙撤回したことなどに関する集中審議を行うことでも合意した。野党側は「下村文部科学大臣の責任はかなり明確だ。事実関係によっては安倍総理の責任問題もあり得る」(民主党の枝野幹事長)として、総工費の膨張や、設計見直しの判断が遅れたことなどを追及するとともに、責任の所在を明らかにしていく方針だ。

これまで新国立競技場建設計画を担当してきた久保文部科学省スポーツ・青少年局長が8月4日付での辞職することになったことに関し、野党側は建設計画をめぐる混乱を受けた事実上の更迭だとして、「問題を放置した下村大臣の責任は大。役所のどなたかに責任をなすりつけることは決してあってはならない」(民主党の高木国対委員長)、「トカゲのしっぽ切りで済むと思うなら安倍政権の感覚が狂っている」(維新の党の柿沢幹事長)などと批判している。意思決定した下村大臣の責任を追及して辞任要求を強めたいようだ。

集中審議の開催日程は今後、与野党で協議することになっているが、与党は、8月7日の衆議院予算委員会で、参議院予算委員会でもその同時期に開催する方向で調整するとみられている。

 

安全保障関連2法案が参議院で審議入りしたが、冒頭から与野党が全面対決する様相を呈している。また、派遣労働者の柔軟な働き方を認めることを目的に、企業の派遣受け入れ期間の最長3年という上限規制を撤廃(一部の専門業務を除く)する一方、派遣労働者一人ひとりの派遣期間の上限は原則3年に制限して、派遣会社に3年経過した後に派遣先での直接雇用の依頼や、新たな派遣先の提供などの雇用安定措置を義務づける「労働者派遣法改正案」も、通常国会中の成立は確実だが、廃案を求める民主党など反発や、日本年金機構の個人情報流出問題の影響などにより、参議院厚生労働委員会での審議が進まず、採決見通しの立たない状況が続いている。

 

こうした与野党対決法案の国会審議のほかにも、新国立競技場見直し問題や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉、戦後70年談話、原発再稼働問題など重要な政策課題が目白押しだ。また、政府が24日の閣議で来年度予算の概算要求基準を了解したことを受け、来年度予算編成にむけた作業も本格化する。9月には自民党総裁選や安倍総理らの外交日程も控えており、総裁選後の内閣改造も取り沙汰されている。

このようななか、新たな問題が浮上し、攻勢を強める野党の要求に応じて党首討論や集中審議などが追加されれば、通常国会の会期末(9月27日)まで期間があるとはいえ、より窮屈な審議日程となっていくことは間違いない。引き続き国会運営や与野党対決法案をめぐる与野党攻防などに注意しながら、国会論戦をウォッチしていくことが重要だ。
 

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