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無銭飲食?破産事件

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無銭飲食?破産事件

 銀座の中級どころのクラブの経営者から相談を受けた。有名企業に勤務するAは、バブル時代からそのクラブを利用しており、毎月末日に会社から飲食代が振り込まれていた。そのような期間が5~6年も続いており、店にとっても上客の部類に入っていた。

 ところが、ここ数か月支払がまったくなされなくなってしまい、Aも顔を見せなくなった。後日地裁に提訴したから、未払い額はそこそこの金額になっていた(金額が少ないと簡裁管轄となるから)。経営者は私のところに相談にくる前に、Aと何とか連絡をとろうとしたが、会社に電話をしてもAと話すことはできず、A個人の携帯電話も着信拒否となっていた。Aの自宅は知っていたが、そこに押しかけることは躊躇した。そこで、やむなく私のところに相談に来たというわけである。

 推測であるが、かつては多額の接待費が出ていたものの、バブルがはじけ緊縮財政の下、会社から接待費が出なくなったにもかかわらず、Aは飲食を続けていたのだろう。つまり、会社が支払うと店を誤信させて飲食物を提供させたという構図であろうから、無銭飲食という立派な詐欺罪が成立するだろうと思われた。

 ただ、依頼者は刑事告訴までは考えていなかった。刑事告訴はなかなかこれを警察は受理してくれない。告訴状など一切の書類の写しをとって、それを警察預かりという形にして処理する。どんなに完璧な告訴状を持参してもダメである。その後捜査をして嫌疑が固まった場合に、正式に告訴が受理される。実質的には告訴権の侵害ではないかと感じたことは幾度もあった。実体がそのようなものであるし、経営者も刑事事件になることまでは望んでいないので、内容証明郵便にて支払催告をし、刑事告訴もあり得る旨を付記しておいた。

 ところがしばらくの間梨の礫状態である。提訴するかどうかと考えていた矢先に、ある弁護士から、Aは破産準備中であるとの連絡文書が届いた。それならば致し方ないと破産を待っていた。破産をして債権表に記載されれば、確定判決と同じ効力があるし、依頼者も税務上損金処理をすることができる。

 個人の自己破産の場合、調査期間を考慮しても、通常は1~2か月で申立をすることができる。ところが、いくら待てども申立がない。進行状況確認のために、その弁護士に幾度も問合せをするが、居留守を使われた。外出から戻ったら、会議が終わったら、必ず電話をもらいたいと伝言しても、まったくの無視である。ホントにひどい弁護士だった。そうこうするうちに飲食代金債権の消滅時効期間の1年となってしまう。

 やむなく提訴。その弁護士が代理人となって、第1回口頭弁論期日は「追って答弁する」と書かれただけの答弁書の擬制陳述。1か月後の第2回口頭弁論期日に、代理人弁護士は来ず、破産申立の書面だけが出され、破産申立を理由に訴訟は中断。訴訟の勝ち負けや飲食代金をとれるかどうかの問題ではない。そのやり方はあざとくないだろうか。経営者としては、回収できなくてもやむを得ない、損金処理できれば経理上きれいになるとの考え方だったのだ。それが無駄の訴訟費用まで使わされたことになる。

 その弁護士は、その当時からそして今も、破産処理のプロと称して大々的に広告を打っている。その広告を見るたびに、「何がプロだ」と嫌な思いをするのだった。

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