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中国・王岐山氏 米国から通信記録狙われ習体制揺らぐ事態も

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 5月1日付の英紙フィナンシャル・タイムズは「米中の行く手に待ち受ける『冷たい平和』台頭する中国」の見出しで、中国が南シナ海の岩礁を埋め立てて、軍事基地を建設しようとしていることに米国が強く反発し、米中が「冷たい平和」の関係に突入していると説く。

 ジャーナリストの相馬勝氏が、米中間の相互不信関係についてレポートする。

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 米中軍事対立の可能性も現実化するなかで、米側は意表を突く手段に打って出た。

 米司法省と米証券取引委員会(SEC)は4月下旬、米金融大手ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど6社に対し、いまや腐敗摘発で習近平指導部の実質的ナンバー2にまでのし上がった感がある王岐山をはじめ党・政府高官35人との通信記録を提出するよう命じたのだ。

 米国の海外腐敗行為防止法に基づくもので、王らがこれら6社に対して、政府高官の子女を雇用するよう働きかけたとの疑惑が浮上しているためだ。

 特に、王は中国建設銀行総裁や中央銀行の人民銀行副総裁を歴任するなど金融界出身で、副首相時代には当時のティモシー・ガイトナー財務長官らと親密な関係を築いたことで知られる。また、王は2008年9月のリーマン・ショック時に、当時のヘンリー・ポールソン米財務長官と密に連絡を取り合い、金融政策についてアドバイスを受けたとされる。

 ポールソンは近著「DEALING WITH CHINA」で王との親密な関係に言及。王が1996年夏、ポールソンが社長兼最高執行責任者(COO)を務めていた米ゴールドマン・サックスのニューヨーク本社を訪れ、両者は初めて面識を得たという。

 王は当時、建設銀行総裁を務めていた。彼は中国電信集団の株式上場という中国政府にとっても極めて重要なビッグプロジェクトを手がけており、ポールソンに同社が株式上場の主幹事を引き受けてくれるよう要請。

 翌1997年2月、ポールソンら同社最高幹部を北京に招待し、中南海・紫光閣で当時の朱鎔基首相との会見をセッティングし、同集団のニューヨーク株式市場への上場などの問題について話し合っている。

 このプロジェクトは結果的に、同集団から分かれた中国電信(香港)が同年10月、ニューヨーク市場に上場を果たしたことで成功。ポールソンは1998年、ゴールドマン・サックスの会長兼最高経営責任者(CEO)に昇進し、その後も中国電信集団の傘下企業の上場に尽力。

 ポールソンが2006年7月、米財務長官として米ブッシュ政権入りすると、当時副首相だった王のカウンターパートとして、両国の金融・経済政策を協議し、双方がウィンウィンの関係であるように調整し息のあったところをみせた。

 また、王はポールソンを習近平に紹介した。その甲斐もあってか、ポールソンはいまでも訪中すれば、習近平ら最高指導部と会見しているほどだ。

 彼は同書で、王はポールソンばかりでなく、「米政府や金融界の要人との親密な関係を築いている」と指摘し、王が米政府中枢に食い込んでいたことを明らかにしている。王が米金融機関に知人の子弟の就職を頼んだとしたら、米側は断り切れなかっただろう。

 かりに、王らとの通信記録が明らかになれば、王の疑惑が白日の下にさらされることになりかねない。そうなれば、腐敗摘発の陣頭指揮をとっている王の権威は地に落ち、これをきっかけに、習近平の権力基盤が大きく揺らぐ事態も考えられる。

※SAPIO2015年8月号


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