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長い目で見ればプロ野球でも高卒より大卒の生涯賃金は高いか

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 プロ野球選手たちの「年俸」をテーマにした大ヒット漫画『グラゼニ』(講談社刊)の原作者・森高夕次氏は、現場取材の経験からプロ野球は「夢を売る世界」であるがゆえに、徹底した格差社会だという。そしてもうひとつ、現役時の年俸だけでは測れないプロ野球の側面について森高氏が語る。

 * * *
 プロ野球選手には、現役の期間が短いという問題があります。引退後の再就職先として、華やかに見えるのはテレビの解説者かもしれませんが、安定していて人気も高いのは球団スタッフのほうです。

 この球団スタッフになるには、密かに「学閥」というものが存在します。引退後に球団広報などのスタッフに残っている選手が、東京六大学野球の出身者が多い傾向も感じられます。それは現役時代の成績に、あまり関係なくも見えます(もちろん、このリーグの人間教育が素晴らしい、とも言えますが……)。

 選手上がりではない背広組の球団関係者は、多くが六大学を卒業したエリートです。彼らの考えが現場の人選にも影響を及ぼすため、ユニフォーム組も六大学出身者が重用される側面もあるのかもしれません。ひょっとしたら長い目で見ればプロ野球においても、高卒より大卒のほうが生涯賃金は高いのではないでしょうか?

 事実、甲子園に出場してドラフト1位でプロ入りし、1億円プレーヤーになった某有名選手でさえ、「声がかかっていた明治大学に進学していれば、プロ引退後の道が違っていた」と後悔していたそうです。

 高卒で活躍する田中将大と大卒で結果が出せてない斎藤佑樹を比較すれば、確かにマーくんのほうが華やかです。しかし、自分の限界を知っていたとすれば、長期的に見ると佑ちゃんのほうがクレバーだ、と考えることもできるのかもしれません(いやいや佑ちゃんもこれから絶対ブレイクしてくれると思ってます)。

 そもそも僕がプロ野球選手の年俸に興味を持ったのは、1983年の巨人。江川(卓)と西本(聖)のオフの契約更改でした。この席上で西本投手は「江川さんより高い年俸を!」と主張したのです。野球選手が自分の給料のことでチームメイトと張り合う。ああ、野球選手って「年俸」にプライドが、かかっているんだなぁ、と初めてわかりました。野球選手を選択したことにより、一般人の何生分もの賃金を稼ぐ選手は、います。もちろん、それにはるかに及ばない人もいる。たとえ稼いだとしても、使い果たして引退後はカネに困る人もいる。

 またセカンドキャリアに就くとしても見切りが早かったために、その後の人生ははるかに稼ぐ人もいる。僕は、プロ野球まで行った人が一般企業に再就職するとしたら、案外、売り手市場だとは思いますが……。

 僕は思うんです。引退後、貯金で何年も食って行ける人は絶対少ないはずだ、と。ほとんどの選手が「セカンドキャリア」が重要になってくる。球団スタッフに六大学出身者が多いと言いましたが、それは〝学閥〟という事もあるかもしれませんが、現役中から“人間”を見られているという側面のほうが強い。結局、最後は「人間力を磨いている“意識”の高い人が強い」と思うんです。

※SAPIO2015年8月号


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