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書店員注目の社会派マンガ 題材はハッカー、女性、少年犯罪

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 本を読みたいものの、何を読めば良いか分からない。そんなときに参考になるのが書店員の声だ。それはマンガについても同様。「本のプロ」ともいうべき書店員が注目しているのはどんな作品なのか。ここでは特に、現代社会の問題と密接に絡み合う「社会派」マンガについて、3名の書店員に聞いてみた。まず、都内の大型書店で勤務する書店員の女性Aさん(30代)は、こう語る。

「今、私がイチオシの社会派マンガは『王様達のヴァイキング』(さだやす・深見真/小学館)です。主人公は社会不適合者でPCだけがお友達という天才ハッカーの少年。彼がエンジェル投資家にその才能を見出され、タッグを組んで犯罪事件などを解決する物語です。

 注目したいのは、主人公がハッキングを楽しみたいという純粋な気持ちに駆動されているところ。そこにホワイトハッカーにも、ブラックハッカーにも転じうる危うさを感じさせます。昨今、サイバー犯罪などが社会問題化している中、非常に重要な問題提起をしている作品です」(Aさん)

 次に、都内の大型書店で勤務する男性Bさん(20代)に話を聞いた。

「最近、自分が読んだ中では『地獄のガールフレンド』(鳥飼茜/祥伝社)が異色でした。シングルマザーの女性、セカンドバージンの女性、天性のモテキャラで男性に依存している女性と、立場やキャラクターがまったく異なる3人がルームシェアを始める物語。作中では、男性中心社会で女性が直面するさまざまな問題に光を当てています。

 男の自分が読むと、『こういうセリフが女性を傷つけているのか』、『確かに自分の上司も女性にこんなセリフを吐いている』とハッとさせられます。女性の社会進出などと言われていますが、まだまだそれを阻む根深い問題が多いと教えてくれる作品です」(Bさん)

 最後に、都内で書店を経営している男性Cさん(50代)の注目マンガは何か。

「仕事柄色々なマンガを読んでいますが、久しぶりに『これは多くの人に売りたい、読んでもらいたい』と思えたのが『ギャングース』(肥谷圭介・鈴木大介/講談社)です。親に恵まれずさまざまな理由で少年院に入った少年たち、いわゆる『ストリートチルドレン』と呼ばれる若者たちの物語です。

 少年院で仲良くなった少年3人組が、社会に出て生きて行くことの困難さに直面する。お金もないし身寄りもない。そこで、悪徳な犯罪者たちから収益金を奪う、通称『タタキ』をして生きていこうと決意します。

 テレビなどで少年犯罪が報じられることはあっても、彼らの生い立ちや背景にある貧困、親の問題などはあまり触れられませんが、『ギャングース』はマスコミで報じられない部分までしっかりと描いています。

 正統派の社会派マンガであるだけでなく、ギャグ要素もあって娯楽としても楽しめる。作画を担当している肥谷さんの作画センスには圧倒されます。こういう作品が出てくれると、まだまだ漫画業界は終わっていないんだと実感しますね」(Cさん)

「マンガだから……」なんて、読まず嫌いだともったいない。社会派マンガを読めば、様々なニュースの背景にどんな問題が潜んでいるのか、より理解が深まるようになるだろう。


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