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TPPで著作権はどう変わる?(その1)~著作権の保護期間の延長

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 最近メディアで環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の話題が多く取り上げられています。この4月にワシントンで行われた主席交渉官会合では、知的財産等については一部積み残しとなったという報道がありました。このTPPの知的財産に関する交渉については、これまでに漫画家や弁護士が緊急声明を発表したりしており、非常に高い関心が寄せられています。
 今回はTPPの知的財産に関する交渉について、どのような内容が問題となっているかみてみたいと思います。

 知的財産権に関する交渉には、製薬会社が新薬を独占的に販売できる「データ保護期間」などがありますが、私たちにとってより身近で影響がある内容は
(1)著作権の保護期間の延長
(2)著作権侵害による非親告罪化
(3)法定損害賠償制度の導入
でしょう。

1 著作権の保護期間の延長

 現在、わが国においては、著作者が明らかである場合には、保護期間は著作者の死後50年間、無名の著作物の著作権については著作物の公表後50年とされています(著作権法51条52条)。映画のみ著作物の公表後70年となっています(著作権法54条)。
 TPP交渉においては、日本を含む各国がアメリカに合わせて、公開や作者の死後から原則70年とする案が出されています。

 この延長問題については、日本国内でもいくつものフォーラムが立ち上げられたりして、活発な議論がかわされています。
 延長に賛成する人々の主な理由としては、国際的には70年が普通であるので合わせるべき、延長されることによって創作意欲が高まる、といったことが挙げられています。
 これに対して、反対派からは、安易な欧米追随はするべきではない、すでに死後50年まで守られているものを延長して創作意欲は高まらないし、仮に創作意欲が高まったとしても著作物の利用や二次創作の妨げになるという弊害の方が多い、といった理由が挙げられています。
 二次創作とは、原作に登場するキャラクターを利用して、独自のストーリーの漫画や小説、カードなどを作ることを指します。コミックマーケットに代表されるように、日本は二次創作活動が盛んな国であるところ、日本における活発な活動が制約されてしまう可能性があります。
 また、日本国内において著作権が消滅した文学作品を掲載しているサイトとして、「青空文庫」が有名ですが、著作権保護期間が延長になれば、当然青空文庫に掲載可能となる時期も延長に合わせて遅くなります。青空文庫のようなサイトで名文学に触れる機会が遅くなってしまうというのも、大きなデメリットといえるかもしれません。

 延長問題については、詳細な内容はまだ明らかとなっていませんが、各メディアの報道を見ると保護期間延長の方向で交渉が進んでいるようです。保護期間を延長するとしても、米国の主張をそのまま受け入れるのではなく、著作物の種類に応じて保護期間を選択できるようにするなど、柔軟な制度になる必要があるのではないでしょうか。

 次回は「著作権侵害による非親告罪化」と「法定損害賠償の導入」についてみていきます。

元記事

TPPで著作権はどう変わる?(その1)~著作権の保護期間の延長

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