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第17回 拘置所の朝

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 平日は7時20分に、休日は7時50分に、刑務官の「起床~」という大声と共に電灯が全灯され、各部屋に設置されているスピーカーから「おはようございます。今日も一日元気で頑張りましょう」という、おばさんの声が流れてくる。
 もっとも、隣接する刑務所から朝6時30分ころだと思うが、起床の声が聞こえてくるので、こちらはあと1時間くらいだなと分かる。

 平日では10分後休日には5分後に朝の点検があるから、大急ぎで布団を片付け、トイレをすませなければならない。布団の片付け方法も規則で決められている。敷布団は三つ折り、掛布団は四つ折り、毛布は八つ折りにして、下からその順に重ねて、毛布の上に枕を置いて完成する。かつて読んだ本には、布団などは角と角、辺と辺をきっちりと合わせなければならないとあったが、そこまで厳しいものではない。
 布団を片付けていると、やはり刑務所から「出房用意!」という刑務官の声が聞こえてくる。あちらは、これからお仕事かと思い、ヒマな私はそれもいいよな、なんてことを考えていた。

 布団について少し書いておくと、拘置所には自分の布団を持ち込むことができる。そうとは知らなかった。前にテレビドラマでヤクザの親分が豪華な布団での拘置所生活をしている場面があり、そんな馬鹿なことはないと思っていたのだが、私が間違っていた。そういえば、あのホリエモンも保釈で拘置所を出るときに、布団を持っていたなと思い出した次第である。宮崎拘置所にも、一人暖かそうな布団で仮就寝している人がいた。
 どうして分かったかというと、仮就寝後に私の居室の電灯が切れてしまい、その交換の間、2階独居の真ん中あたりの部屋にいさせられたことがあり、その部屋に移動する際に見たのだ。

 点検は、その収容者がちゃんといるのかを確認する作業である。つまり逃亡していないかの確認である。滅多にあることではないが、日本でもたまに刑務所や拘置所からの脱走事件がある。どうやったら逃亡できるのかまったく不思議である。そもそも独居から出ることすら難しい、というか不可能だと思う。その不可能を可能にしたところで、外に出るまでにはいくつもの関門があるのだから。

 点検が具体的にどのようになされるかについては、「所内生活の心得(未決収容者用)」に書いてあるので、これを引用する。
 「ア『点検用意』の号令がかかったら服装を整え、正面扉の方向に向かって定位置に正座又は安座し、ベット式の居室においてはベットに座り正面を向き静かに待ちましょう。」、「イ『点検』の号令がかかり、点検職員が居室の前にきて『番号』と号令をかけたら、自分の称呼番号(雑居室の朝点検は一連番号)をはっきり言ってください。」、「ウ『なおれ』の号令があるまで定位置で静かに待ってください。」とある。

 さらに、「新入者告知事項」と題する冊子には、「窓を全開して服装を整え、指定された位置(畳の一枚と二枚の線に膝を合わせる)に正座し、手の指を伸ばして太ももの上におくこと」とある。「心得」では安座も許されているのが、「告知事項」では正座に限定されている。「所内生活の心得」と「告知事項」のいずれが、一方に優先するものか分からない。
 点検自体はやむを得ないものであるとは思うが、そのやり方にはかなりの疑問がある。このことは別機会に譲って書くこととする。(つづく)

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第17回 拘置所の朝

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