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採用時の「不適正な質問」、愛読書や尊敬する人物もNG

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求職する側の企業に対する口コミ評価を過小評価するのは危険

ここしばらく、求人倍率が1.0を上回る「売り手市場」になっています。求職者にとっては嬉しいことですが、採用側にとっては、望む人材をタイムリーに採用することが難しくなる危険性があります。

実際に「手を尽くして人を募集しているのに、なかなか良い人が来てくれない。やっと内定を出しても、その後に辞退されてしまう」と嘆く企業がある一方で、「ぜひ御社で働きたいです」と応募者が殺到する企業があります。この差はどこから生じるのでしょうか?

もちろん、業界や職種、求人で提示される給与の額や勤務地といった条件面で応募者の数に多少はあります。しかし、より根本的な問題として、その企業に対する漠然としたイメージや口コミによる求職者側からの評価が影響している場合もあります。ところが、中小企業の人事担当者や経営陣の中には、その重要性に気づかない、または過小評価している人たちが相当数いるようで、時おり報道される「不適正な採用選考」のニュースにその一端が見えます。

滋賀県教育委員会の調査では82件の「不適正な質問」の報告が

26年度に就職面接を受けた、延べ2377人の高校生を対象に滋賀県教育委員会が行った調査によれば、73社で82件の「不適正な質問」が報告されたそうです。不適正な質問の内訳は、住居地の特定に関するもの31件、家族構成とその状況を確認するものが28件、信条調査にあたる愛読書の確認が17件、同様に尊敬する人物の確認が4件、本籍地・出生地の確認が2件でした。

採用選考を実施する人の中には、この記事を読んで「愛読書」や「尊敬する人物」が、なぜ「不適正な質問」になるのかと意外に思ったかもしれません。このような質問をする側の気持ちとしては、単にその応募者の人柄を推測するための一材料として尋ねているだけでしょう。しかし、厚生労働省による「採用選考時に配慮すべき事項」として、「本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握」があり、この中に「尊敬する人物に関すること」「購買新聞・雑誌・愛読書などに関すること」と明記されています。これは「採用選考の基本的な考え方=応募者の適性と能力のみを基準として選考すること」に準じています。

採用担当者よりも採用選考の指針に詳しい応募者も

前項の指針は、厚労省のHPに掲載されているため、誰でもすぐに確認できます。採用担当者よりも、このような指針に詳しい応募者もいます。今は人権の尊重という意識が一般に浸透しているため、採用者側にこのような視点が欠落していると思われた場合は、ネット上のコミュニティーを通じて短期間で日本中にその企業を厳しく評価するコメントが拡散されることもあり得ます。知らない企業に応募する人は、そのような口コミ評価に敏感ですから、結果として応募者の減少にもつながりかねません。

生き残りをかけて自社の人材を確保したい企業は、その規模の大小にかかわらず、採用選考のあり方や担当者の言葉遣い一つで成否が左右されるという意識を強く持つべきです。人権の尊重を基本とする採用と人材活用ができる企業には、意欲の高い人材が集まり、自社の競争力も高まることになるはずです。

(安藤 ゆかり/研修講師・キャリアコンサルタント)

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カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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