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経営陣の辞任で幕引きしたい東芝 最悪シナリオは上場廃止か

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 今年4月に「不適切会計」問題が次々と明るみに出た東芝。同社の株には売りが殺到し、問題発覚前の3月末に530円を超えた株価は、7月13日には363円まで下がり、年初来安値を更新した。

 問題発覚後の5月8日、東芝は期末配当を無配とすることを発表。株価下落率は約30%と株主は甚大な被害を被った。

 ゼンショーホールディングス第三者委員会の委員長を務め、ビジネス法務に詳しい久保利英明弁護士の話。

「すでに米国の有力法律事務所が株価の下落によって損失を被った株主を募り、損害賠償請求訴訟の準備に入ったと伝えられています。粉飾となれば国内でも株主による集団訴訟を起こされる可能性は高いでしょう」

 2012年のオリンパスの粉飾決算事件が記憶に新しいところだ。財テクの失敗などで膨らんだ損失約1000億円を海外の投資ファンドに移す「飛ばし」で簿外処理し、買収企業ののれん代(買収価格と買収企業の純資産の差額)を架空計上するなどして約1300億円を損失穴埋めに利用した事件。

 金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で社長に懲役3年、執行猶予5年の判決が下るなど経営陣らが刑事責任を負った。

 では今回の東芝の場合はどうなるだろうか。前出の久保利氏は幹部逮捕の可能性は「ゼロではない」と分析する。

「報道が事実で意図的に会社ぐるみで水増しの利益計上が行なわれていたならば、金融商品取引法違反で証券取引等監視委員会から告発され、訴追に至る可能性は否定できない。

 特に調達部門出身で資材の調達方法を知り抜いている田中久雄社長から『工夫しろ』という指示を受けたとすれば、部下が“残された手段は粉飾しかない”と判断してもおかしくない」

 監査法人の責任も問われる。実は東芝の決算書類の監査を担当しているのは、オリンパス事件で業務改善命令を受けた監査法人と同じだった。なぜ今回も見逃してしまったのか。

 そして経営陣の引責辞任で幕引きを図りたい東芝にとって、最悪のシナリオが「上場廃止」だ。ケイ・アセット代表でマーケットアナリストの平野憲一氏が指摘する。

「虚偽記載や、延長した期限までに有価証券報告書が提出されなければ、東京証券取引所が規定する上場廃止基準に該当する恐れのある銘柄が割り当てられる『監理ポスト』入りや、上場廃止となる可能性はあります。

 日本を代表する東芝株は日本株で運用するファンドには必ず組み入れられているコアストック。それを手放すファンドや機関投資家が増えているのは投資対象として不適格と判断しているからです。

 今後も不透明感が続けば監理ポスト入りは十分考えられる。そうなれば市場の信頼は無に帰し、買い手がなくなり、実質的な“上場廃止”です」

 上場廃止になれば泣きを見るのは投資家だ。

「大量の東芝株を保有している金融機関は、なんとか上場廃止を避けようと金融庁と第三者委で盛んに情報交換しているようですが、この先どうなることやら……」(銀行関係者)

 ファンドや銀行だけでなく、最も直接的な被害を受けるのが紙クズを握りしめることになる個人投資家だろう。私利私欲で社内抗争を繰り広げ、市場の混乱を招いた東芝経営陣の責任は重い。

※週刊ポスト2015年7月31日号


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