ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

安藤忠雄氏の元同志 彼は「建築家エゴ」の塊になったのか?

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 2020年東京五輪のメイン会場となる新国立競技場の建設計画が迷走を続けている。その原因となっているのが、デザインコンペの審査委員会で委員長を務めた建築家・安藤忠雄氏が選んだザハ・ハディド氏によるデザイン案と、いつの間にか高騰した建設費だ。

 安藤氏は2520億円と試算された建設費については16日の会見で、「選んだ責任はあるが、なぜ2520億円になったのかを私も聞きたい」と語った。そんな安藤氏と多くの仕事をしてきたライフスタイルプロデューサーの浜野安宏氏が、安藤氏について語る。

 * * *
 ザハ・ハディド氏のデザイン案を採用した建築家・安藤忠雄氏とは、かつて多くのプロジェクトで一緒に仕事をしてきた。

 たとえば1970年代の後半から1980年代にかけて取り組んだ神戸の北野町プロジェクトでは、もともとあった異人館のテイストに合わせた商業施設を設計・デザインし、今でも街づくりのお手本とされている。

 その頃はいい仲間だったが、最近は私たちの声が届かなくなってしまったように思う。

 私の事務所は東京・北青山にあり、国立競技場は目と鼻の先にある。だから常に地元住民の感覚で新国立競技場の計画を見てきた。

 緑溢れる神宮に高さ70メートルの建造物が現われるわけだが、単に70メートルといわれてもなかなかピンとこない。そこで、私は地元の人たちと一緒に70メートルまで上がる風船を用意して、それがどのくらいの高さなのかを確かめてみた。

 やってみてよくわかったが、70メートルという高さは明治神宮の森から完全に浮き出てしまう。実測した結果からいえば、許容できる高さはせいぜい40メートルといったところだろう。それ以上になればこの町では「異物」として認識される。

 北野町プロジェクトの時に共有した周囲の環境に合わせて街づくりを進めるという思いは、どこへ行ってしまったのかと思う。

 安藤氏はテレビ番組で、ザハ氏のデザインを採用しても森の木を切ることにはならないと語っていた。ところがその数週間後、地元では木をどんどん切り倒し始めた。そういうやり方にも、地元住民は不信感を募らせている。

 大会後も残る建造物だからこそ、地域に溶け込んだ空間と建物が求められる。地域住民が有効に使える広場や野外劇場、商業施設などを組み合わせた街づくりの一環としてのスタジアムはできないのだろうか。

 今回のザハ案のようなマッチョなデザインは、時代にも合わない。そうしたデザインを押し付けるのは、建築家のエゴに思える。

 2020年東京五輪のコンセプトは『Discover Tomorrow~未来をつかもう~』だ。五輪が終わった後の未来をスタジアムとともに生きていく地元住民の気持ちをもっと考える必要がある。安藤氏が今も40年前の志を忘れてはいないと思いたい。

※週刊ポスト2015年7月31日号


(NEWSポストセブン)記事関連リンク
森稔・森ビル会長 食事中も東京地図を離さない仕事人だった
プリンセス姿の剛力彩芽 可愛い王子様のエスコートにデレデレ
新・国立競技場 審査員が安藤忠雄氏の選択に追随した経緯も

NEWSポストセブンの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP