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沖縄の離島にiPadがやってきたよ! 子どもたちと「15の春」のものがたり【前編】


沖縄本島から東へ360km、沖縄最東端の北大東島で、iPadのKeynoteでプレゼンテーションの技術を学ぶ北大東小学校の児童たち。iPadを囲む笑顔に、iPadそのものがコミュニケーションツールなのだと気付かされる

「15の春」の旅立ちの前に

小学生や中学生の頃、クラス替えを楽しみにしていた人も多いだろう。多くの小学校では2年に1回、中学校では学年が進むごとにクラス替えが行なわれる。それは、子どもがいずれ社会に出るための、新たな人間関係をつくる練習の場でもある。

ところが、児童生徒数の少ない学校ではそうはいかない。クラス替えのない学校――。沖縄本島から東へ約360km、沖縄最東端の北大東島の小中学校もそのひとつだ。


北大東島は沖縄本島から約360kmの距離に浮かぶ離島。ちなみに360kmといえば、東京―京都間とほぼ同じ距離となる

全周およそ14km、クルマで30分もかからずに1周できてしまう小さな島に、700人ほどが暮らしている。2015年度は、37名の小学生と24名の中学生が、島唯一の学校、北大東小中学校へ通う。3年生と4年生、5年生と6年生は複式学級、小中あわせて7クラスの小さな学校だ。クラスの仲間は、小中学校9年の時間を共にする家族のような存在だ。


北大東小学校の外観(写真左)と校舎内で遊ぶ児童たち(写真右)。校舎の形は、大東諸島の固有種・ダイトウオオコウモリが翼を広げた姿がモチーフ。木をふんだんに使った2階建の校舎は、中央部分が吹き抜けになっていて明るく開放感がある

クラス替えのない北大東島には、高校が存在しない。そのため、生徒たちは高校進学を機に、慣れ親しんだふるさとの島を離れて沖縄本島に移り住む。

実は、沖縄の多くの離島が北大東島と同じ境遇にある。沖縄には面積1ヘクタール以上の島が160存在し、有人島は49、うち29島に学校がある。だが、高校があるのは沖縄本島、石垣島、久米島、宮古島、伊良部島の5島だけ。隣接する島に船で通える2島を除いた23の島に住む生徒たちは、北大東島と同じく、15歳にして親元を巣立っていく。中学を卒業した生徒たちが旅立つ季節は、いつしか「15の春」と呼ばれるようになった。

「15の春」は、ふるさとの島を離れる生徒たちにとって試練の春でもある。島では新しい人間関係をつくる機会がほとんどない。それが突如、見知らぬ土地に移り住み、大人数が通う学校の一員となり、自分以外はほとんど初対面の環境で、クラスに溶け込む必要性に迫られる。人生で経験する「初めて」の連続に、萎縮して不登校に陥る生徒もいるという。

学校の外にも落とし穴が潜む。家族との連絡のため、ケータイを持ち始める生徒が多いが、十分なリテラシーがないままケータイを使い始め、思わぬトラブルに巻き込まれることもあるのだそうだ。

北大東小学校3、4年生のクラス。撮影していても子どもたちに気負いはない。先生「緊張しなくていいからね」、子どもたち「先生が緊張してるよー!」

「15の春」を、生徒のさらなる成長のきっかけにする――。そのために、北大東島・南大東島・多良間島の3島が手を取り合った。教育委員会や小中学校が連携し、「15の春」の旅立ちを応援するプロジェクトを2014年3月に立ち上げたのだ。

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