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任天堂激震 カリスマ岩田氏亡き後の後継社長と新事業の行方

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 2002年、42歳という若さでゲーム会社の任天堂社長に後継指名され、衰退が叫ばれる家庭用ゲーム機の復権に意欲を注いできた岩田聡氏(55)だが、志半ばで帰らぬ人となってしまった。

「昨年6月に胆管腫瘍の手術を受けて以降、あまりの激ヤセぶりに周囲も心配していた。本人は『病状は徐々に良くなっている』と話していたが、6月26日に開かれた株主総会後に急に体調を崩して緊急入院。そのまま回復することはなかった」(業界関係者)

 京都本社で開いた株主総会には600人以上の株主が出席。2015年3月期決算で4年ぶりに営業黒字に転換したこと、DeNAとの資本提携でスマホ向けゲーム市場に参入すること、そして新型ゲーム機「NX」(開発名)の発売を予定していること――など任天堂の“新機軸”が岩田氏本人の口から力強く説明されていただけに、突然の訃報に驚きと失望の声が広がった。

 エース経済研究所の安田秀樹アナリストがいう。

「任天堂は『ニンテンドー3DS』や『Wii U』といった主力のゲーム機販売が軒並み落ち込んでいることに加え、これまで否定的だったスマホ対応ゲームへの参入を決めたことで岩田さんへの経営批判が高まっていました。

 でも、巻き返しを図る素地は整ってきました。ゲームに登場するキャラクターのフィギュアをハード機にかざすと新しいゲームや特別なアイテムがもらえる『amiibo(アミーボ)』が世界的な人気を博して業績回復に大きく寄与する見込みです。

 また、DeNAとの協業も単にスマホゲームを開発するだけでなく、NXを含めてゲーム機とスマホをいかにうまく連携させて任天堂ファンを増やすかというシステムづくりも着々と進んでいます。岩田さんが種を撒いた施策の成果が出るのはまさにこれからだったので、いま指揮官を失うのは任天堂にとっては大きな痛手です」

 そこで気になるのは、この緊急事態に任天堂の舵取りを誰がするのかという点だ。

 現状、同社の代表取締役は岩田氏以外、「NINTENDO64」やWiiなどハード機の開発を手掛けてきた竹田玄洋氏と、『スーパーマリオ』、『ドンキーコング』といったゲームソフトの生みの親で知られる宮本茂氏の2人の専務がいる。

 だが、「2人ともハードとソフトの技術者としては優秀だが、経営全般をジャッジできるタイプではない」(業界関係者)との評価が専らだ。前出の安田アナリストもいう。

「社長として一番重要な要素は投資の判断、つまり損切りができるかどうかです。岩田さんはゲーム関連機器の開発や制作を行うHAL研究所の社長を経験し、その手腕を買われて任天堂の社長に抜擢されましたが、今の任天堂に岩田さんに代わる経営判断をできる人は見当たりません」

 業界内では外部からの引き抜き案も囁かれている。「誰が新社長になろうとも、岩田氏が敷いたレールを進みながら徐々に新しい路線を広げていくほかない」(業界関係者)。

 若きカリスマを失った任天堂。岩田氏の志を受け継ぐためにも、まずは予定されている新事業を滞りなく軌道に乗せられるかがカギとなる。

●撮影/横溝敦


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