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企業版ふるさと納税に期待される経済効果

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官房長官が「企業版ふるさと納税」について言及

菅義偉(すが・よしひで)官房長官は2015年6月28日、秋田市内で開かれた自民党県連大会で講演し、「企業版のふるさと納税があってもいいのではないか」と述べ、企業の剰余資金を地方自治体に投入するための新たな仕組みを検討する意向を示しました。

菅氏は「地方創生のため、法人住民税を工夫し、自治体に民間資金を投入する可能性を財務省と総務省、内閣府に勉強するように指示している」と言及。早ければ2016年度税制改正大綱に、新制度の内容を盛り込む考えを示しました。

企業がふるさと納税をする際に大きな税の壁がある

現在、ふるさと納税自体は企業にも開かれており、企業か個人かを問わず、自治体へ寄附をすることで特産品を受け取ることができます(全ての自治体で受付けているわけではないようです)。

しかし、現行の制度では、企業がふるさと納税をする際に大きな税の壁があります。寄附金の前提として、企業が都道府県、市区町村などの地方公共団体へ寄附金をした場合には、その寄附金は全額損金となり税金を圧縮することができます。しかしながら、法人税は企業の利益に税率を掛けて決定されるため、寄附金による節税効果は「寄附金×税率」分だけにとどまってしまいます。

ふるさと納税でもらう特産品は法人からの贈与という扱い

また、寄附をした際にもらった特産品の税務上の取扱いについても、地方公共団体は法人とされているため、ふるさと納税でもらう特産品は法人からの贈与という扱いになり、その分法人税の支払いが増えてしまいます。

例えば、A社の利益が2,000万円だったとします。この時、税率が30%だとすると、税金は600万円です。ここで、A社がB県に100万円をふるさと納税として寄附し、お返しとしてB県から50万円相当の特産品をもらったとします。寄附金分の100万円は全額損金になるため、利益は1,900万円(=2,000万円-100万円)に減少します。

しかし、A社は50万円相当の特産品をもらっていますので、これが受贈益になり、利益は最終的に1,950万円(=1,900万円+50万円)となります。税金を計算してみると1,950万円×30%で585万円となり、寄附をしていないときより15万円節税できています。
しかし、それと引き換えに手元に残る現金は85万円減少することになってしまいます
(=寄附額100万円-節税額15万円)。

さらなる経済効果が期待される

現在、導入されている個人のふるさと納税では、寄附額から軽減された所得税の額の差額を個人住民税から差し引くことで、寄附額が2,000円を超える部分について税額の控除を受けることができます。企業版ふるさと納税が実現すれば、先ほど記述した85万円分が法人都道府県民税や法人市町村民税から控除されることになると想定されますので、多くの法人がふるさと納税を実施するようになるでしょう。

ふるさと納税をすることにより、各自治体が地元の特産品を地元業者から買い取ることで、各地の特産品などの生産を下支えすることになりますが、企業の場合は寄附の金額が大きくなると思われますので、さらなる経済効果が期待できるのではないでしょうか。

(泉田 裕史/税理士)

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