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モノのない生活から新しい価値が生まれる ― 話題の「ミニマリスト」とは?

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 今、“モノの価値”への考え方を揺さぶる一冊の本が注目を集めている。
 『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』(佐々木典士/著、ワニブックス/刊)は日本人ミニマリストが実際に実践している“モノを減らす生活”のすべてを書きつづった一冊だ。部屋からモノをなくした後に何があるのか、好きなモノさえも手放したときに人は何を考えるのか、溢れ返るモノに囲まれて生きている読者の価値観を一気に変えるような内容となっている。

 著者でミニマリストの佐々木さんは1979年生まれの編集者。典型的な「汚部屋」に住んでいたが、あるきっかけからミニマリストに一気に転身し、モノを片っ端から捨てていった。今では、1Kの部屋の中にはテレビも机も本もなく、パソコンと小さな小物入れ、そして寝るためのマットレスのみで、食器も必要最低限と徹底した暮らしぶりを体現している。
 本書にはそんな佐々木さんをはじめ、さまざまなミニマリストたちの生活を垣間見ることができる写真が掲載されている。

 今回、新刊JP編集部は、発売即重版となり、ミニマリストではない読者からも支持を受けているという本書について、佐々木さんにインタビューを敢行した。
(新刊JP編集部/金井元貴)

■「ミニマリスト」は一体どんな生活をしているのか?

――ミニマリストという生き方についてお話をうかがいたいのですが、まず、どのような人がミニマリストといえるのでしょうか。

佐々木:よく思われているイメージは、持っているモノがとても少ないということですね。ミニマリスト=最小限主義者というのが語源ではあります。でも、テレビを持っていたり、ベッドで寝ていたりするとミニマリストじゃない、スーツケースに持ちモノがすべて入ればミニマリストだ! と言う人もいますが、そういうことではないとぼくは思っています。。モノの数が単純に少なければ少ないほどいい、多ければ悪いということではないんです。自分にとって本当に必要なモノが分かっていて、大事なもののために、それ以外を減らしている人がミニマリストだとぼくは思っています。たとえ大きなピアノや、車を持っていても、他人の目線を気にして持っているのではなく、自分が本当に大事で必要だと思っていて持っているのであれば、それもミニマリズムだと思います。自分にとっての「最小限」を意識するのがミニマリズムなので。

――自分にとって大事なものは何かを把握しているということですね。

佐々木:そうですね。「スーツは何着までしか持っていちゃいけない」と言う人もいますけれど、それは他人の価値観にコントロールされていますよね。そうではなくて、自分にとって必要な枚数を持っておけばいいので。

――確かにスーツは着る人は毎日着ますし、着ない人はまったく着ませんしね。

佐々木:自分や家族が豊かな生活をおくるために必要なモノだけを残して、それ以外を減らす、削ぎ落している人を、ぼくはミニマリストと解釈しています。またモノ以外でもミニマリズムは適用できます。溢れる情報の中から自分が必要なものに絞る、そういったこともミニマリズム的な考えだと思っています。

――佐々木さんは今、どのような生活をしているのですか?

佐々木:床には何も置かないようにしています。テレビやベッドは手放しましたし、小物入れをテーブル代わりにして使っています。忙しくて帰って寝るだけのときもあるのですが、座禅を組んだりして過ごしています(笑)修行僧のような気分ですね。でも掃除機も、洗濯機も、電子レンジも自分に必要なモノはちゃんと持ってますよ。布団乾燥機すら今はありますから(笑)。

――本の中に佐々木さんの部屋の写真が掲載されていますが、1Kの部屋ががらんとしていますね。

佐々木:そうですね。娯楽はパソコンとスマートフォン一台あればほぼ済みます。DVDも音楽もiTunes Storeなどを使ってダウンロードすれば楽しめますし映画を見たければ映画館に行きますしね。


――写真を見る限り、本やCDもありませんよね。もともとはモノが溢れ返った部屋だったところから、それらをなくしていくのは大変だったのでは?

佐々木:そうですね。一番(部屋が)ぐちゃぐちゃだったのが2008年頃なんで、ここまで片づけるのに7年くらいかかっています。でも一気に減ったのはここ1年くらいですよ。

――すごいですね。そういえば、佐々木さんはご結婚されているんですか?

佐々木:いえいえ、独身丸出しですよ(笑)確かに、同居人やお子さんがいるとモノを減らすのは難しいと思われるかもしれません。ただ極端にモノを減らすのが、ミニマリストではなく、それぞれの生き方で、ステージで必要なモノを考えるのがミニマリズム。だからこの本でもご家族でミニマリズムを実践している人のケースも掲載しています。

――この本にはDIYや自作の洋服などを駆使しながら、落ち着ける住まいを追求している4人家族の部屋の写真が載っています。家族でミニマルな生活を実践するときは、その家族なりのやり方がありそうですね。

佐々木:そうですね。どんな状況にあってもミニマリズムは実践できるし、どれがベストということもありませんから。
奥さんが家具デザイナーをしている方のお話で、やはりデザイナーをやっているといろんなところから家具がもらえるらしいんですね。それで家じゅうが家具だらけになって、夫婦仲が悪くなってしまったそうです。でも、片付けたら関係も良好になったというエピソードもありますね。

■「どんなモノでも捨てる」ということの利点

――佐々木さんはモノを捨てるときに「もったいない」と思うことはなかったのですか?

佐々木:めちゃくちゃありましたし、その感覚は今でも普通にあります。それまで集めたCDや本はもちろん、高かったのにあまり着ていなかった服もありましたから。

――「これ買うのにいくらかかったっけ」と、お金に換算してしまいますよね。

佐々木:そうそう。この服、1万円したよな〜とか思っちゃう。でも服を減らして、空いたスペースがもしかしたら1万円以上の価値を生むかもしれないし。モノは目に見えるから、その分価値が分かりやすいけれど、実はモノがないことによって生まれる新しさの方が、価値は高いかもしれない。

――それは同時に過去の自分への執着を捨てることにもつながりそうです。

佐々木:集めるのに10年くらいかかった本棚の本をまるごと捨てたときはそうなりましたね。神保町の古書店に来てもらって買い取り額の査定をしてもらったのですが、2万円くらいでした。買ったときの合計はたぶん100万はくだらなくて、貴重な本もあったのでもうちょっと期待していたんですけど(笑)。…。ただ、自分が好きな本でさえもリセットしてみると、新しい自分が見つかりますよ。一度手放してみて、やっぱり好きだと思えばもう一度同じ本を手に入れられる時代ですし、思い切れました。本棚を手放すと、目の前にある1冊に集中できるので、本棚があった頃より本をよく読むようになりました。テレビも手放しましたしね(笑)。まあ、でも正直言うとミニマリストとして生活し始めてから、将来のこともあまり考えられなくなってきていて。(笑)

(インタビュー後編は明日配信予定!)


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