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ご当地レトルトカレーの開発 成功と呼べるのは5%しかない

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 暑くなってくると無性に食べたくなるカレー。核家族や単身世帯が増えた近年、具材からコトコト煮込んで調理する機会が減ったという家庭もあるだろう。その代わり、袋を温めてご飯にかけるだけの簡単便利なレトルトカレー人気が高まっている。

 レトルトカレーは10年ほど前から味や種類が増え続け、いまや市場規模は759億円(富士経済調べ/2013年)に及ぶ。地方の特産物を混ぜて売りにした“ご当地カレー”は、その土地を訪れなくてもスーパーや百貨店、ネット通販等で気軽に手に入る時代となった。

 いったい、どのくらい種類があるのか。カレーの商品開発や飲食店プロデュースなどを行うカレー総合研究所の井上岳久所長に聞いたところ、人気の裏側にある驚くべきビジネスの実態が明らかになった。

「全国各地のご当地カレーは、少なくても2000種類はあると思います。でも、山のように新商品が生まれては、山のように消えていく厳しい世界。毎年200~300種類ぐらいが入れ替わり、成功しているのは全体の5%程度ではないでしょうか」

 井上氏の元にも、レトルトカレーの新商品開発や味の改良などに関する相談がいくつも舞い込んでくるが、気乗りしない案件も多いという。

「レトルトカレーは自分の町をPRして地方創生につなげるには一番分かりやすい商品です。また、100万円もあれば初回ロット分ぐらいは開発・製造でき、うまくいけば売り上げも回ってくるビジネスです。

 しかし、レトルトカレーはすでに肉や魚、野菜など世の中にあるほとんどの食材を入れ尽くし、味も一巡してしまった感があります。しかも、何でもかんでも特産物を入れれば売れる時代は終わり、クオリティーが求められています」

 味のベースとなるカレーのルーにもこだわりは必要だ。「ニンジンを入れるならニンジンに適したカレー、鰤(ぶり)を入れるなら鰤に合ったルーを研究しなければ味がついてこない」(井上氏)という。

 そして、どんなに美味しいカレーが完成しても、全国の消費者に手に取ってもらい、リピーターを増やし、あわよくば地元へ観光客を誘致する――。そこまでブランド力をつけるのは並大抵のことではない。

 では、ご当地レトルトカレーで最も成功しているのはどこか。井上氏は横須賀(神奈川)の『よこすか海軍カレー』を例に挙げる。

「横須賀市や商工会議所などが『カレーの街』として全国への情報発信を地道に行ってきたおかげで、ブランドの知名度は断トツ。レトルトはお土産としても喜ばれています。

 また、横須賀に来れば海軍カレーがその場で味わえるレストランが多数あり、統一したレシピで味にブレもありません。そうした総合的な戦略が奏功したのだと思います」

 その他、北海道・札幌のスープカレー、愛知県の松坂牛を使ったカレー、「横須賀カレーフェスティバル2015」でグランプリに輝いた長野県大鹿村のジビエ(鹿肉)カレーなどの評価が高いというが、いずれも「大多数の人が美味しいと思うクオリティーを追求した結果」(井上氏)だ。

 小売店では『銀座カリー』(明治)や『カリー屋カレー』(ハウス食品)、『ボンカレー』(大塚食品)などナショナルメーカーの低価格ブランド人気も引き続き高い。レトルトカレーの生き残りをかけた過当競争は、今後も続いていきそうだ。


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