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ギリシャ問題が与える日本への影響を考察

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ギリシャがIMFへの支払いで先進国初めての「延滞」に

本年6月30日、ギリシャはIMFへの支払いについて先進国で初めて「延滞」になりました。次いで7月5日にIMF・ECB・ユーロ圏諸国の支援策に対する国民投票を行い、これを拒否し、7月8日にはチプロスギリシャ首相が新たな支援策を提出、ユーロ各国は12日に首脳会議を開き、提案について検討しています。

近代ギリシャは1821年にオスマン帝国(約370年支配)と独立戦争を開始し、1832年にコンスタンティノープル条約によって独立が認められた比較的若い国です。独立後、1946年~1949年の内戦、1967年~1974年は軍事政権。1974年に君主制を廃止し共和制となった後、2015年までの41年間で9回も政権・政党が変わるなど、政情はなかなか定まりません。

ヨーロッパ及び米国がギリシャを支援し続けてきた要因

ギリシャは独立後の半分がデフォルト状態にある国です。デフォルト又はリスケジューリング期間と件数累計として独立年から2008年まで5回、その期間は50.6%にもなり、国の歴史の50%が経済破綻状態で歴史を刻んできました。(出典:カーメン・M・ラインハート ケネス・S・ロゴス著「国家は破綻する」日経BP社刊)

地理的にも東はエーゲ海、南は地中海、西はイオニア海に面し、北はアルバニア、マケドニア、ブルガリア等バルカン諸国という位置にあり、強国ロシアへの抑え、ヨーロッパと中東との接点、キリスト教とイスラム教の接点という重要な場所を占めています。第二次世界大戦後、1952年にNATO加盟、1981年にヨーロッパ共同体(現EU)に加盟しヨーロッパの一員として行動しており、この国をヨーロッパ及び米国が支援を続けてきた要因といえます。

日本への直接的な影響は軽微

同国の主要産業は観光業、海運業、鉱工業、農林水産業で実質1,610億ユーロ(2013年:IMF)。経済規模は2014年のGDPで2,380.2億ドル、世界45位、ヨーロッパ、15位、ユーロ圏10位、そして日本の約20分の1の経済力です。日本とギリシャの貿易額(2013年)は、日本の輸出150億円、日本の輸入177.9億円と小規模にとどまり、輸出品は一般機械、鉄鋼、輸送用機器類で、輸入は石油製品、綿花、果実等です。

金融関連は民間の投資家が保有するものは少なく、20年前発行、本年償還の円建て国債117億円、ギリシャ国有鉄道発行サムライ債(2016年償還)が主な債券です。これらのことから、ギリシャが破綻しても、日本への直接的な影響は軽微と考えられます。ただし、カオス理論バタフライ効果への懸念から、世界の金融界はリスクオフとなり、同時期中国上海市場の株価急落も重なり、日本の株価は日々上昇・下降を繰り返す結果となりました。

返還の見込みがない状態は支援国民の支持が受けられず

ギリシャがユーロ圏に残れば今後も支援を続けなければならず、返還の見込みがない支援には支援国国民の支持が受けられるか疑問が浮かびます。一方、バルカン半島の要であり、NATOの一員であるギリシャを見放せば、ロシア又は中国が支援の肩代わりを申し入れることが予想されます。

日本にとっては、前述のようにギリシャ経済が破綻しても直接の損失は軽微です。一方、ユーロの信認が揺らげば、円高により欧州貿易の減退、株価への悪影響が出ます。銀行保有の国債等ソブリンリスクへの対応として自己資本増強が進んでいるため、1000兆円を超える政府債務を抱える日本の対応に早期化や積み増しの懸念もあるでしょう。

(吉野 充巨/ファイナンシャルプランナー)

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