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自炊代行サービスの行方

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 以前の連載で「自炊」についてとりあげましたたが、自炊代行業者の著作権侵害について、昨年大きな判決が出されましたので、今回はそれをご説明させていただきます。

 顧客の依頼で本や雑誌の内容をスキャナーで読み取り電子データ化する「自炊代行」の適否が争われた訴訟の控訴審判決で、知財高裁は平成26年10月22日、著作権(複製権)の侵害を認めて複製差し止めと70万円の損害賠償を命じた一審・東京地裁の判断を支持し、東京都内の自炊代行業者側の控訴を棄却しました。
 この事件では、訴えられた事業者は、

(1)電子化した後原則として本は破棄しているのであるからそもそも「複製」に該当しない
(2)事業者は自炊サービスの利用者の私的複製を補助しているにすぎない手足のようなものであるから複製の主体ではない(主体はあくまでも利用者)
(3)事業者の行為は、著作権法30条の趣旨があてはまるため、30条の適用がある
といった主張をしていました。

 事業者の主張について、裁判所の判断を見てみましょう。

 まず、(1)についてですが、「複製」とは、著作物を「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」です(著作権法2条1項15号)。裁判所は、裁断した書籍をスキャナーで読み込み電子ファイル化する行為は、「複製」にあたることは明らかで、たとえ書籍は廃棄していて著作物及び複製物の個数は増えないとしても、「複製」であることには変わらないとしています。

 次に(2)については、事業者は独立した事業として、営利を目的としてサービスの内容を自分たちで決定し、開業の準備をして、インターネットで宣伝広告を行って集客し、送られてきた書籍を裁断し、スキャナーで読み込んで電子ファイルを作成して書籍を複製し、納品しているという状況に照らすと、営利を目的とする独立した事業主体として複製行為を行っているといえるから、複製行為の主体である、と判断しています。

 最後に(3)について、30条の趣旨は個人の私的な領域において活動の自由を保障する必要があることと、私的な領域内であれば著作権者への経済的打撃が少ないことに鑑みて規定されたものであるとした上で、事業者が書籍の電子ファイル化をすることは、外部の者の介入に他ならず、大量の複製のおそれがあり30条の趣旨目的を損われ、著作権者が不利益を被るおそれがあるので、30条の要件は充足せず、30条は適用されないとしました。

 この知財高裁の判断については、書籍の読者に不便を強いるものである、技術が進歩しているのに時代に遅れた判決であるといった批判も多かったところ、事業者のホームページに最高裁へ上告したことが報告されました。最高裁がどのような判断をするのか、注目が集まっています。

元記事

自炊代行サービスの行方

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