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クリエイターよ八王子に集まれ! 賃貸オーナーの50年構想

八王子を日本の“SoHo”に! 靴屋の店主が描く50年構想

東京郊外の中核都市・八王子。その玄関口である八王子駅は一日平均8万人以上が利用する巨大駅だ。しかし、数多くの商業施設や飲食店でにぎわう駅北口とは対照的に、古くからの住宅が並ぶ南口周辺は閑散とした雰囲気に包まれている。
八王子で靴屋を営む小俣能範さんは今、そんな南口エリアを「日本のSoHo」へと再生するべく尽力している。50年先を見据えた民間レベルの街づくり構想。その展望を取材した。
200人のクリエイターを八王子に集めたい

小俣さんは八王子で60年続く老舗靴屋の代表。現在66歳。自身も八王子で生まれ育ち、街の動静を眺めてきた。かつてに比べにぎわいを失いつつある地元の未来を憂い、数年前から始めたのが、八王子駅南口を拠点にした若いクリエイターの支援活動と、それにひもづけた街づくり。具体的には、自身の所有する南口の一戸建て物件をお金のない若いクリエイターに格安で貸し出し、アトリエや活動の場を提供。最終的には南口一帯に200人のアーティスト、職人などを呼び込みたいと考えている。ものづくりを生業とする若者の力を結集し、一帯に活気を取り戻すのが狙いだ。

「きっかけは6年前。当時、私が所有していた南口徒歩5分の一軒家を、『TRICKY(トリッキー)』という女性デザイナーズユニットに貸したんですが、40年以上空き家だった古い建物を自分たちの手でアトリエに改装し、見事に再生してくれました。以来、1階をギャラリーに改装して人を集めたり、八王子のフリーペーパーを制作したりと、地元を盛り上げるために頑張っています。そんな姿を見て、彼女たちのような若い才能がもっと集まれば、一帯に活気が戻るのではないかと思ったんです。南口には古い空き家がたくさんありますから、活動の拠点を求めている若い人がそこを安く借りられるようにしていきたいと考えています」(小俣さん、以下同)

現在では所有する二つの一戸建てをアトリエとして提供している小俣さん。さらにその数を増やすべく引き続き物件を探しているが、個人の力では限界がある。市にも協力を呼び掛けているが、現時点で色よい反応は得られていないという。アートを糸口に、地元商店街の活気を生む

今後に向けた課題はあるものの、集まったクリエイターの力により南口周辺はじわじわと盛り上がりを見せている。象徴的なのが、TRICKYが企画し、地元のアーティストや商店街を巻き込んだイベント「Honey’s Garden(ハニーズガーデン)」だ。年1回、一帯を歩行者天国にしてライブやワークショップを開催するほか、店舗を利用したアート展示も実施。普段は夜営業の飲食店もこの日は昼からオープンし、多くの来場者でにぎわう。

「いつもは閑古鳥が鳴いているようなお店でも、イベント時には1500人くらいのお客さんが来る。そのうちの何人かでもリピーターになってくれれば、お店としては万々歳です。実際、イベント後の数カ月間、売り上げが3~4割アップしたお店もあります。『ハニーズガーデン』がスタートしてから、それまで北口に集中していた人が、少しずつ南口にも流れてくるようになりましたね」

【画像1】イベントはすでに7回を数えるが、回を重ねるごとに来場者は増えているという。

【画像1】イベントはすでに7回を数えるが、回を重ねるごとに来場者は増えているという。

「ただクリエイターが集まるだけでは何も起こらない。彼らがこの街を舞台に何かを仕掛けたり、遊んだりしてくれることが大事なんです。そして、そんな楽しそうな気配に誘われて集まってきた人たちがまた、南口の新しい経済や文化をつくっていく。そのために、今は最初の種まきをしている段階ですね」八王子は「SoHo」になれるポテンシャルがある

若いころは海外を飛び回り、異国の街のさまざまな風景を目にしてきたという小俣さん。そこで気づいたのは、魅力的な街の色はそこに暮らす人々によってつくられるということ。

「ニューヨークなどは顕著ですが、職業や会社の規模によって住む場所が明確に分かれ、ライフスタイルも飲みに行く場所も聴く音楽も、明確なすみ分けがされている。それぞれの文化が街づくりにも色濃く反映されているから、同じ市内でもエリアによって全く雰囲気が異なるわけです。一方、日本はホワイトカラーもブルーカラーも同サラリーマンというくくりでまとめられ、ライフスタイルにもそう大きな差がない。だから街に個性が反映されにくいんだと思います」

【画像2】かつて自分を刺激した世界の街の多様性。それが現在の活動の原点になっているという。
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