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第15回 独居内のこと(その2)

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 独居の出入り口のすぐ左には、スピーカーと報知器と呼ばれる設備がある。スピーカーは、ラジオ放送や所内放送を流すものであるが、音量調節は外にしかないので、調節したいときは刑務官を呼ぶしかない。刑務官を呼ぶ手段が報知器である。
 中から押すと、外にパタンと昔のバスのウインカーみたいなものが飛び出す仕組みである。かなりのアナログ方式である。

 寝具はトイレ手前の畳の上に、きちんとたたんで置かれている。下から順に敷布団、掛布団、毛布2枚と積まれている。そのような積み方でしまわなければならないのである。
 また、四つ折りの仕方などたたみ方にもルールがある。さらに、折り目がどの方向を向いて寝具を置くのかにもルールがある。

 ここの布団カバーは赤と緑のストライプ模様であった。何かの本の挿絵にまったく同じ模様の布団が描かれていたし、私が鑑別所に面会に行ったときに見かけた布団もそうだったから、全国一律なのかもしれない。大分刑務所は違っていたが。

 いろいろと備品も準備されている。食器ふきん、食器洗剤、タオル、洗面器、食器洗い桶、石鹸、石鹸箱、スポンジ、たわし、塵かご、トイレ洗い用棒たわし、それを入れる箱、トイレクレンザー、はたき、ほうき、塵とり、ヤカン、台拭き、小机があり、それぞれ所定の位置に置かれている。所定位置は「居室整理整とん要領表(独居用)」という冊子に図示されている。きちんとそこに片付けなければならないということである。

 洗面台近くにある私物整理棚には、魔法瓶、トイレ用ちり紙、プラスチックスプーン、はし、歯磨き粉が置いてある。トイレ用ちり紙は、「ちりがみ」と言わず、「ちりし」と呼ばれている。それが正しい読み方かどうかは知らないが、初めて聞いたときには、何のことだか分からなかった。

 備品については、魔法瓶を除いて、私物を持ち込んだ場合に、返還しなければならない。石鹸やタオルといった消耗品備品は特にそうである。できるだけ備品の消耗を避けて税金を使わないようにとの配慮だと思う。だから、ちり紙を自費で購入した場合、備品としてあったちり紙は返却しなければならないのである。どこかの房の者が「自分でちり紙買っておいて、なんで返さず使ってるんだ。これも税金だぞ」と刑務官に怒鳴られていた。

 一般的には、検察官による逮捕でない限り、警察での留置場生活を経験してからの入所であるが、タオル、石鹸、石鹸箱、歯ブラシ、歯磨き以外は持参していないから、それ以外は官による上記の支給品を使用するか、購入するしかない。

 若干記憶が不鮮明なのだが、入所してすぐに、面倒見さんが、物品購入のためのマークシートを持ってきてくれたので、とりあえず必要なちり紙、箸、箸ケース、ノート、筆記具の購入手続きをした。入所してすぐの場合には、これらの物品がすぐ届くように刑務所側が配慮しているのか、それともストックがあるのか、翌日にはすぐに物品が届いたのはうれしかった。

 ちなみに、備品として置いてあるちり紙は、その色が灰色でいかにも幾度もの再生紙ですという感じで、昔の学校のトイレにあったような紙である。品のない話だが、拭かれる部分が痛くなりそうである。ほとんどの人が、私物としてちり紙を購入しているのも納得できる。(つづく)

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第15回 独居内のこと(その2)

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