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スマホ苦戦のサムスン 社名外した日本市場で生き残る条件は

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 韓国サムスン電子の凋落が止まらない。7月7日に暫定発表した2015年4~6月期決算では、売上高は前年同期比8.3%減の48兆ウォン(約5兆2000億円)、営業利益も同4.0%減の約6兆9000億ウォン(約7500億円)と、減収減益の見通しだ。

 業績低迷の最大の要因は、利益の半分以上を稼ぐスマートフォン販売の不振だ。

 日本でも知られるスマホブランド「ギャラクシー」は、米アップルの「iPhone」と激しくシェアを争った末、2014年の世界シェアは24.5%で前年の31%より大きく比率を落とした。しかも、日本でのシェアは5%未満と振るわない。

 今年4月に発売した最新機種の『ギャラクシーS6』と『S6エッジ』は、デザイン性を高めた曲面ディスプレイに加え、1600万画素のカメラや独自の決済システム(サムスンペイ)を搭載するなど、従来モデルの仕様から大幅に刷新した製品。サムスンにとっては乾坤一擲を賭す製品といえる。

 ギャラクシーがここまで苦戦しているのはなぜか。モバイル研究家で青森公立大学経営経済学部准教授の木暮祐一氏が分析する。

「サムスンのスマホ戦略は多機能・高価格帯を狙ってきましたが、その分野は成熟市場の先進国ではiPhoneに完全に押される一方、今後もスマホ需要が伸びそうな新興国では、中国の小米(シャオミ)や台湾のASUS(エイスース)といった中低価格メーカーに市場を独占されています。

 日本で売れないのもiPhoneが独り勝ちしていることが大きいのですが、日韓関係の冷え込みもあって、意識的に避けられている印象があります」

 そうした事情を勘案してか、日本発売のS6とエッジの本体には「SAMSUNG(サムスン)」の社名表記をしておらず、CMやパンフレットでも社名よりギャラクシーブランドを前面に押し出す戦略に変えている。それだけ危機感を持っていることの表れだ。

 業界関係者からは、「S6の売れ行きは上々で底は打った」との声も聞こえてくるが、この先、ギャラクシーは日本市場でさらに存在感を高め、生き残っていくことができるのか。

「これまでサムスンはアップルを意識し過ぎる余り、早々と発売した腕時計型のウェアラブル端末も、サムスン製のスマホがないとペアリングできないようにするなど顧客の囲い込みを仕掛けましたが、アップルほどのブランド力向上には繋がりませんでした。

 しかし、iPhoneシェアが圧倒的に高い日本市場で戦うためには、アンドロイドOSを搭載した他の端末メーカーとうまく連携をして部材の相互供給をするなどしていかない限り、利益アップは狙えないでしょう」(前出・木暮氏)

 今年4月より日本のモバイル事業トップ(サムスン電子ジャパン代表取締役COO)には、過去NECに長く在籍していた堤浩幸氏が就き、営業活動を強化している。人材の引き抜きや入れ替えが激しいことで知られるサムスン。堤氏にのしかかるプレッシャーも相当なものと推察される。

 経済ジャーナリストの片山修氏がいう。

「韓国のサムスン本社では、病床にあるカリスマ会長の李健熙(イ・ゴンヒ)会長に代わり、長男の在鎔(ジェヨン)副会長が実質的に経営の実権を握っています。

 在鎔氏はマーケティング担当役員を更迭して自らS6の開発に口を出すなど、徐々にリーダーシップを発揮しています。これまでのように大きな利益を確保し続けることは難しいでしょうが、当面はスマホ事業の再建が在鎔氏に課せられた重要なテーマといえます」

 さて、サムスンは新型ギャラクシーを引っ提げ、日本を含めた世界シェアをどこまで盛り返すことができるか。巨大サムスン帝国の未来と後継者の手腕を占う意味でも注目だ。


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