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電子書籍に関する規定が整備された2015年著作権法改正

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 前回の連載から少し期間が経過し、知的財産を取り巻く環境はまた大きく変わってきています。今回から、知的財産権の法律について最新の状況をご紹介しつつ、解説をしていきたいと思います。

 著作権については、先の連載では2012年の著作権法改正までご紹介させていただきました。
 今回は、2015年の著作権法改正について取り上げます。2015年著作権法では、電子書籍に対応した法整備について大きく改正されました。

 電子書籍は、2009年にアマゾンによるキンドル2の発売をきっかけに米国で電子書籍の市場が拡大しました。2010年に電子書籍端末にアップル社のiPadやキンドル3、シャープのガラパゴス等が加わったこともあり、日本でも急激に市場が拡大しました。電子書籍に関する団体も2010年に多く設立され、2010年は電子書籍元年とも呼ばれます。
 しかし、電子書籍元年は同時に海賊版の被害が増加する元年でもあり、その後海賊版被害は深刻になっていきました。

 紙媒体で出版する場合は、出版社と著作者との間で出版契約というものを締結し、出版社は「出版権」という権利を得ることができます(著作権法79条)。出版権者は契約の範囲内で、著作物の出版をすることができるとともに、著作物を権利者の許可なしに出版する人に対して差止請求や損害賠償請求をすることができます(著作権法112条114条民法709条)。しかし、これまでの著作権法において、出版権は文書や図画、いわゆる紙媒体で出版する者にしか認められていませんでした。したがって、電子書籍やCD-ROM等によって出版する会社が、海賊版を発見したとしても、差し止めといった措置をとることができないという状況でした。

 そこで、今回電子書籍に対応した出版権を整備するための改正が行われました。

 本改正では、CD-ROM等による出版や、インターネット送信による電子出版を行う者について出版権が設定できるようになりました(著作権法79条)。これにより、電子書籍を出版する会社も自ら海賊版に対して差止請求をすることができます。
 さらに、出版権者は、紙媒体のみならずCD-ROM等の記録媒体で複製する権利や著作物をインターネット送信する権利の全部又は一部を持つことが可能となりました(著作権法80条)。
 また、従来の規定において、著作権者が著作物を引き渡してから6ヶ月以内に出版する義務が定められていましたが、電子出版も同様の義務を負うこととなりました(著作権法81条)。もっとも、これは、契約等で別の取り決めをすることも可能となっています。

 今回の改正では視聴覚的実演に関する北京条約の実施に伴う法整備も行われました。
 これまでの著作権法では、保護の対象となる実演を、日本国内における実演(7条1号)や日本国民をレコード製作者とするレコードに固定された実演(7条2号)等に限定していましたが、これに、北京条約の締約国の国民又は締約国に常居所を構えている者の実演も加わることになりました。
 日本国内の権利者については、今回の改正による新たな権利の追加等はありませんが、北京条約の締結国間では同様の保護を与えることが求められており、外国において日本の実演が保護される範囲が広がることが見込まれます。

元記事

電子書籍に関する規定が整備された2015年著作権法改正

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