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【連載】国家戦略特区シンポジウム(6月26日)その5 養父市の国家戦略特区 これまでの困難と今後の展望 <広瀬栄(養父市長)>

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前回(その4)に引き続き、先日(6月26日)に行われた「国家戦略特区シンポジウム」(主催:内閣府地方創生推進)の様子を書き起こし形式でお伝えいたします。

 

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【竹中平蔵(国家戦略特区諮問会議有識者議員)】

 

みなさん、こんばんは。だいぶ色々なお話をお聞きしてお疲れかと思いますが、そうそうたるメンバーが集まっていますので、特区の問題、とりわけ地方創生と結びつけた議論をさせて頂いて皆さんにぜひ役立つようなセッションに出来ればとおもいます。

 

 

今までの中でいろんな議論がありましたが、私なりに整理させて頂くと、このような感じです。国家戦略特区というのは、区域会議が作られていますが、区域会議というのは政府に要求するだけの機関ではなく、それぞれ「ミニ独立政府」であります。しかし、「ミニ独立政府」で色々話し合っても、解決できない話があり、それを政府主導で導くため、総理をチェアマンとする特区諮問会議があります。そして、そのもとにワーキング・グループを設置し、日常的に関係省庁と折衝をしています。ですので、区域会議が非常に重要な役割を持っていることになります

 

 

安倍総理も繰り返し「民間の出番、民間の出番」という言葉を使ってらっしゃいます。このことは、取りも直さずいろんな仕組みを作り、規制改革メニューをつくりましたが、これからは、それをどう使い、どう成果を出すかということが問われている段階なのだろうということです。

そういう意味では地方の首長さんにぜひ頑張っていただきたいし、そこに参加する企業の皆さんに斬新なアイディアを出していただきたいし、それに対し私達政府の側も頑張って答えを出していく、そのような良い循環を作れるかどうかが問われているのです。

そういう意味で、このセッションで議論したいことは3つあります。

この地方創生で新しい立役者となろうとしている方々がここにお見えですけど、①特区を使って何を実現したいのか?、②そのために超えなければいけない壁は何なのか?、③地方創生のために広くみなさんに国に地方に呼びかけたいことは何なのか?を集中して議論したいと考えています。

パネリストの中で何も打ち合わせをしておりませんので、忌憚のない意見、様々な問題提起をして頂きたいと思います。

 

【広瀬栄 養父市市長】

養父市の国家戦略特区は地方創生特区でもあります。養父市は、人口がどんどん減少していますが、それにどう歯止めをかけるかということが課題とされています。私の思いとしましては養父市は、「もう失うものもないくらい」の所であります。だから、思い切ったことに挑戦しようとし、それが国家戦略特区で(提案したこと)でありました。

 

農業委員会との調整は非常に大きな話題になりました。地区指定を昨年の3月21日に受けましたが、農業委員会から非常に厳しい意見書を4月9日に頂きました。「農業委員会の活動が理解できてはいないのではないか?」、「農業委員会のこれまでの成果を評価してないのではないか?」、「相談がなかった」、「説明がなかった」、「情報が与えてもらってない」という内容でした。私は、これは「反対のための反対」だろうと思っていました。しかし、私は地域の農業委員会は仲間だと思っており、「農業をどうにかしたい」という思いは共通だと思っていましたので、説明をすれば理解していただけると思っていました。

 

しかし、非常に大変で、7回にも及ぶ農業委員会との折衝の末、昨年の6月27日に農業委員会において、合意の決定を頂き、7月4日の特例の事業分担に関する同意書を頂きました。7月1日にはちょうど菅官房長官が養父市に激励に来ていただいたので、菅官房長官立会のもと、農業委員会から同意書を頂きました。

 

 

農業委員会以外の規制緩和についても養父市は頑張っております。

元気な高齢者が働きやすい環境づくりのため、シルバー人材センターの積極的活用をしようとしています。労働時間の規制緩和を提案しました。インターネットによる酒類販売の要件緩和を地域の事業者が特区事業として提案しました。

 

シルバー人材センターの方は、特区法案で審議中であります。インターネットによる酒類販売の要件緩和については、この7月3日に通達の一部改正により全国で適応できるようになります。これについては、小泉政務官に力強いご支援を頂きました。

 

規制緩和のメニューの活用ということで、養父市で8社の農業生産法人を作った、もしくは作るという会社があります。特にこの中で、象徴的なものとしては、オリックスと養父パートナーズの組み合わせがあります。養父パートナーズとは、養父市が100%出資する地域公共会社でありますが、当然地域の農業者が関わるわけですが、これにさらにJA但馬が出資・協力していただくことになりました。国家戦略特区の象徴的な試みだと思っています。JAも自ら改革しなければいけないという思いがここに出ていると私は考えています。

 

養父市のアグリ特区信用保証制度ということで、現在2件の3500万円の実績を積んでおり、現在12名の雇用が生まれています。

 

 

また、民間が養父市に非常に興味を持って頂いています。三井物産は養父市に人的支援をして頂いています。さらに、ドローンを使用した遠隔医療についても共同提案をさせて頂いています。三井物産のアグロビジネスの協力により、養父市の農産物の都市部への流通経路の確保も現在行っています。

他にも、みずほ銀行と地元の但馬銀行との協力により、アグリファンドの設立を行っております。

養父市としては、国家戦略特区を通し多くのメディアに取り上げていただき、非常に大きなPR効果があったと思っています。さらに現在、養父市の特産でありますが朝倉山椒を使った新しい特産品を作って、現在全世界に売りだそうとしています。

 

 

さらなる規制改革に向けて、特に我々が強力に推し進めなければいけないと思っているのが、農業生産法人の更なる要件緩和についてです。特に出資要件を事業者2分の1以上にするということが必要であると考えています。そのためには企業の所有により、農地が耕作放棄地や産業廃棄物処理場にならないように、市独自の農地の適正管理に関する条例制定を近々行いたいと考えています。近未来技術実証特区というものにも、現在積極的に挑戦させて頂いております。

現在の養父市の取り組み、今後の展望については以上であります。

 

 

 

【竹中平蔵(国家戦略特区諮問会議有識者議員)】

非常に具体的に分かりやすい議論をしていただきありがとうございます。

国家戦略特区とは、主として最初は、東京を中心とする地域、関西圏、福岡市から始まったわけですが、そこに養父市が入っており、地方創生特区という言葉が生まれるようになりました。そしてそれに加え、近未来技術実証特区という概念が加わりました。

養父市の話はその近未来技術実証特区と地方創生特区が重なりあうようなところの特区と言えますが、それに似たような形のものが仙北市の特区であります。門脇市長どうぞ。

 

(門脇仙北市長の講演次回<その6>で)

 

 

【小泉進次郎(内閣府大臣政務官)】

 

仙北市長の前にちょっと一言養父市について。私も特区になる前、養父市について全く知りませんでした。実際行ってみたら、町の人が「町をどうにかしたい」と訴えてくるのです。

シルバー人材センターの話がありました。現在高齢者は週に20時間しか働けません。普通、意見交換会の中で、高齢の方々には「消費税が上がって辛い」といった話をおっしゃられる方が多いのですが、養父市の高齢の方々はみな「もっと働きたいからどうにかしてくれ」と話をぶつけてきます。

もう一つお酒の話。この時代にインターネットで酒を売っては行けないという話があるんですよ!

一個一個の特区と向き合っていると、日本が変わらなければいけない所伸びしろがよく見えてきます。

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