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政務活動費の「ネット公開」で返還額が急増 高知県議会で進む透明化(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)

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昨年の“号泣県議騒動”を機に、使途への疑惑が深まった地方議員の政務活動費(政活費)。高知県議会では2014年度に支給したものの、使いきれずに返還された額が前年度の約3倍に急増した。議員がいったん手にした経費を渋々、返還したその理由とは――。

高知県議会の場合、議員が「調査研究」や「研修」などに充てることのできる政活費は一人あたり月14万円で年間168万円。県議会が1日に公表した資料によると、2014年度に36人の議員に支給した全6048万円のうち、1010万円が使われずに返還された。

返還率は16.7%。返還額は前年度の366万円から2.7倍に増え、返還額及び返還率は制度が始まった2001年以降で最も高かった。

なぜ、高知県議会で急に政活費の返還が増えたのか。号泣県議騒動で有権者の目が厳しくなったことも影響しているだろうが、それよりも大きいのは政活費に関する資料の全面的な「ネット公開」だろう。

高知県議会は1日から、全国で初めて政活費の収支報告書と領収書など関連資料をホームページで公開。それまでは平日の日中に議会事務局まで出向かなければならなかったが、いつでも、誰でも手軽に使途の内容や支出先などを確認できるようにした。

議会のホームページには会派、議員ごとに収支報告書と活動報告、出納簿を掲載。それぞれの支出に対応する領収書もすべて公開した。国会議員でもネットには収支報告書しか載せていないため、政活費に関しては全国で最も透明化が進んだ議会といえる。

これだけ透明化すると見る側、監視する側にとっては便利だが、見られる側にとってはかなりの圧力がかかる。これまではマスコミや市民団体が問題の起きた時だけチェックしていたが、これからは一般の有権者も含めて常に監視にさらされることとなるからだ。

以前は公開から5年間を過ぎれば資料が破棄されていたため「逃げ切り」も可能だったが、ネットに掲載したデータは複写や保存が容易なため、半永久的に残っていく可能性がある。「いつかバレるかも」と思えば、議員も不透明な支出を計上しようとは思わない。

高知県議会の取り組みを参考にして、他の都道府県や市町村も早急に政活費の徹底的な透明化に取り組むべきだ。高知では総額のみを記した領収書でも良しとしているが、さらに踏み込んでレシート添付などですべての支出明細を公開することも検討すべきである。

そして、国会もこうした地方の先進的な取り組みをぜひ、見習わなければならない。

国会議員は自らに関連する政治団体の収支報告書を公開しなければならないが、領収書については保存義務があるだけで、請求されない限り提出する必要はない。保存期間も3年と短く、これまで多くの不適切支出が見過ごされてきた。さらに、収支報告の義務すらない「文書通信交通滞在費」(文通費)の問題も放置されたままだ。

仮に文通費に収支報告や領収書の公開が義務付けられたなら、「正当な支出」では使いきれず、返還する例が相次ぐだろう。政治資金が潤沢な大物議員や世襲議員ほど文通費が余るため、「議員自らのポケットに入れている」からだ。

『使途や領収書のネット公開を始めた途端、返還額が急増した』。この事実は国会及び全国の議会に、多くの教訓を投げかけている。

 

(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)

 

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