【連載】国家戦略特区シンポジウム(6月26日)その4 特区は突破口!! <スプツニ子!(現代美術家、マサチューセッツ工科大学助教)>

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前回(その3)に引き続き、先日(6月26日)に行われた「国家戦略特区シンポジウム」(主催:内閣府地方創生推進)の様子を書き起こし形式でお伝えいたします。

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【平 将明(内閣府副大臣)】

それではスプツニ子さん、特区というのはいままで我々がなかなか出来なかったことを場所を限定して規制改革しようということなのでグローバルに活躍されていますし、ワクワク感も含めて今の話もふくめて感想を聞かせてください。

 

【スプツニ子!(現代美術家、マサチューセッツ工科大学助教)】

ワクワク感でゆくと特区は突破口という役割になります。それでいくと高島市長のイケイケっぷりが頼もしいです。今MITメディアラボでアート作品とか作って未来を妄想しているところにいるのですがみんなで言っていることで、「100の未来を想像してそのうち10が叶うのならもっと大きく行ったほうがよい」と話をしています。(高島市長のような)ガンガンイケイケっぷりで行くのは大事だと思います。

私も今回はスペシャリストではないので参加するにあたっていろんな人から話を聞きました。こういう規制があるとか、外国人の医者は外国人しかみてはいけないとか、こんなに保育所がたりなくて女性が仕事に出て行けないのに保育士の試験が一年に一回しかない、受からなかったら来年までまたなくてはならないとか。「なんだこりゃー」みたいなものがいっぱいあって(これらを)特区で利用して思い切り変えてゆくのがよいと思います。福岡市に期待しています。

 

ドローン特区を新潟でつくるってことで鯉渕さんとお話をしていたのですがドローンを使って新聞配達をする試みとか。先日も事件があって「ドローンは危ないのではないか、規制したほうがよいのではないか?」みたいな人たちも出てきますが新しいテクノロジー、産業はそうやって実験するところがないと安全性を高める、セキュリティーを高める術が無いです。実験する場所がないから。そこで安全性、セキュリティーを心配するのだったらだからこその特区ではないかと思います。規制するではなく、ポテンシャルのあるテクノロジーを活かすような場所を作ってくれたら嬉しいしそこでアートをやりたいです。ドローン特区が出来た暁には、そこでしか出来ないドローンアートを立候補します。

 

【平 将明(内閣府副大臣)】

今後の前向きな話ですがこれからの特区の課題はどうあるべきか、八田先生からお願いします。

 

【八田達夫(特区諮問会議有識者議員)】

一番大きな成果は都市計画の自由化とそれによって容積率が増えるなど大きいと思います。また医療についてもかなりの改革が行われてきました。日本の医療技術を輸出するには更に新しい発明をしたときにそれが認証されるプロセスが簡単になる、といったことをこれから進めてゆかなければならないと思います。それからあとは農業です。農業は従来特区で農業委員会の一部を市に移すということで新規参入が非常にしやすいという状況を作りました。しかしそれに加えて農業生産法人の条件を緩和するという大きな課題が残っていますから今の農協の改革が終わったらそちらのほうにも力を入れるべきだと思います。

それから林業、水産業でもまだまだ大きく変える余地があると思っています。

 

【秋池 玲子(特区諮問会議有識者議員)】

特区は二つの種類があると思っていまして、一つはその地域ならではの特徴を活かしてよりよい場所にしてゆくためのもの。もう一つは、本当は全国で出来たほうがよいのだけどその前に特定の地域でやってみようかな?国家の先駆けとしてやってみようかなというものです。

前者の場合もそこだけということではなくて(たとえば)養父市で農業の新しい取組をやってみてそれが全国の同じような地域のモデルになるように目指してやっておられることもあると思います。

また高島市長の福岡市のように全国の先駆けでやってみようというタイプのものもあると思っています。ぜひあるところにとどまることでなくどんどん進めるということで各首長さんには期待をしております。

 

今後特区の拡大もこの先行われますがただただ拡大すると国家戦略という意味も薄れていってしまいますので選ばれたところがある目的に対して実によくやっているということならば良いのですが、そうでない場合は特区指定を取り消すというような見直しも含めてモニタリングしてゆくということが国民としては非常に重要なことだと思っていますので、そういった取組を継続してゆくことかと思います。

 

【平 将明(内閣府副大臣)】

すでに特区指定を受けていていろんなネタや可能性があるのになかなか地域からアイデアがでてこないなど少し濃淡があるように思えます、しっかりモニタリングすることだと思います。

 

【髙島 宗一郎(福岡市長)】

いまのお話に乗っかるとすると今回の特区の特徴は地方がダイレクトに省庁にお願いに行くのではなくて地方が上げて区域会議で話してワーキンググループの先生方が省庁に交渉していただけるというところが、今回がいままでと違う点です。

もちろん特区を増やしてゆくのもよいのですがあまり増えると我々に回ってくる回数も減ってしまうのでよろしくお願いします。

 

それからイノベーションと言われていますが単なる技術革新ではなくて、ニーズにフィットする、実態にフィットするということだと思います。福岡(市)でもベンチャーたくさんいてこんな商品作りたい、サービス作りたいという方がたくさんいます。でも日本の社会ではそれが出来ない。例えば、セグウェイのようなすごいものが開発されてもアメリカでは警察官がのっています、でも日本では使えない、なぜか?それは技術が革新するだけではなくそれを受け入れて社会に活かそう、そんな社会、政治がないと変わらないわけです。

ドローンほか新しい革新的技術があるにしても、例えば自動運転があれば飲酒運転がなくなるわけです。いろいろな可能性があるものを受け入れてゆく社会をつくってゆくためにいま手を上げて指定されている特区はそれを先進的に取り組もうという覚悟がある地域ということですからぜひ国家戦略の特区なので福岡市だけが盛り上げあればよいという話ではないので日本の最先端のものをどんどんやってみよう、ここだけはもう少し省庁の皆さんの協力をいただいてやってみよう、チャレンジしてみたいなと思います。これからも日本の尖りを作ってゆきたいと思います。

 

【平 将明(内閣府副大臣)】

高島市長おっしゃったように仕組みが変わりました。

規制緩和したい、こういった特区をしたいといった時に八田さん、秋池さん他ワーキンググループの方たちがかなり精緻な議論をして規制省庁と交渉をします。これはたんなる規制緩和をする、しない、ではなくそこに規制があるのはそれなりの理由があったりしますのでそのリスクが顕在化した時にだれがそのリスクを取るのか?もしくはその担保措置はなんなのか?そもそも時代が変わっているのでそのリスク自体が存在しないのではないか?ということになり最後は石破大臣のもと、担当副大臣の私や第三セッションの小泉政務官が高島市長のかわりに省庁と折衝をして改革事項をとってゆくとなるわけです。これが大きな変革だと思います。

比較的族議員という方がこの政治の世界には多いので“ディフェンスモード”の人が多いのですがそうじゃない人達が今戦っています。

アベノミクスの中で去年の1月にダボス会議で安倍総理が「岩盤規制のドリルの刃先になってやります」と言ったのですが実は刃先は我々でして結構岩盤が硬いので刃こぼれ思想になりながら頑張っているのですが、 もう一つは近未来技術実証特区をやろうとしているところです。

さきほどスプツニ子さんがおっしゃったドローンも規制強化しなければならないところはあると思います。2020のオリンピック・パラリンピックに向けてテロ対策はしなければならないのですがすごいイノベーションの可能性があります。

自動運転も科学技術の方、内閣府で行くとレヴェル3、自動運転できるのだけれどもドライバーが乗っている状態を目指していたわけですがそうではなく、最初からドライバーが乗っていないレヴェル4を目指しましょうということも視野に入れつつ、ドローン、自動運転、遠隔医療、遠隔教育が技術として当たり前位になったときに今ある規制がすべてじゃまをするのでそれを近未来技術実証特区でドローン飛ばし放題、自動運転もレヴェル4を目指して行う、様々投入した時になにが起きるのか?なんの規制の緩和をする必要があるのか、一方で新たなルールもつくる必要があると思うのでそれらが世界標準もとれるようにルールも作ってゆくという近未来実証特区をカチッとやってゆこうということです。

プロセスとして内閣府が「アイデアください」と公募しているわけです。民間や大学や市町村が直接規制省庁へ言っても冷たくあしらわれることが多いわけです。それをワーキンググループや諮問会議の委員、我々政務三役が省庁に対してゴリゴリゴリゴリやっているという所なのでさらに、今後一次産業、観光、社会保障分野もさらに深堀が必要になると思いますので、特区や機能はかなりかわっているという実感があります。

 

【髙島 宗一郎(福岡市長)】

多分いまの体制はすごく良い状況で小泉政務官、平政務官がこういった新しい技術が日進月歩で出てきているものをいかに社会にフィットさせようということにものすごく熱心なので、いまのこの体制の中で出来ないことは絶対日本では出来ないけど出来なかったで終わらせることはできません。期待していますので頑張ってください。

 

【スプツニ子!(現代美術家、マサチューセッツ工科大学助教)】

いちばん楽しみなのは、今までロンドンに住んだり、NYにすんだり、もちろん日本にも住んで日本が一番大好きですが、住みやすいし、マナーも良いし御飯も美味しいし、だけどもったいないなあと思うのは国際的なグローバル人材が集まりにくくなっています。

スライドでも外国人の高度人材のビザの緩和とか資料の中にも出ていましたがクリエイティブ人材だったりアートディレクターだったり、エンジニアだったりが日本に来やすくする、でも緩和するだけではなくて「緩和していますよ」と、もっと世界にアピールするべきです。

多分これまでの日本のイメージだと「日本は移民とか嫌いなんだ」ってイメージがついてしまっていて「僕の夢を実現するために日本へ行こう」ってあまり思いません。そういったイメージも出していったほうがよいのだろうと思うのと、今MITで仕事をしていて一番おもしろいのは、みんな世界中から来た超優秀な移民の集まり、世界中から人が来ていまして、競い合って話し合ってという環境があってそれが日本のなかでも増えたらずっと面白いなと思います。

 

【平 将明(内閣府副大臣)】

高度人材やクリエイティブ人材が日本に来て競合して新たな価値を発見して見なおしてまた世界に散らばってゆく、私はクールジャパンも担当しているんですがまさに同じことだと思います。これをどうやったら東京だけでなくそういった人たちが、意欲をもった人たちが集まるか、集まる仕組みができるかも大きな課題だと思っています。

 

【八田達夫(特区諮問会議有識者議員)】

外国人に日本に来てもらおうという話ですが大学を卒業した人に関しては日本はビザ要件は非常に緩やかです。アメリカよりも緩やかだと思います。それ以下が非常に厳しいわけです。

それには理由もあるわけでして単純労働で入ってこられたら日本の労働者も困るということです。ただし、今、お話がでたようなクールジャパン、たとえば日本の美容師さん、日本の美容学校はすごく良いですから日本の美容学校を出て日本の国家試験を受けて即座に(母国)帰らなければなりません。これを「3年とか4年とか日本に居られるようにしようではないか?」という要請がでています。これに対する抵抗がすごい、これは東京の美容院だって助かるんです、外国人がどんどん入ってきますから。

英語や中国語を使えなくて困るんですがそういった人が働くことに抵抗があるのです。これはアパレルの専門学校を出た人も4年とか5年とか日本にいて日本の文化を全部外国に持って行けるのにといったことがあります。

 

【スプツニ子!(現代美術家、マサチューセッツ工科大学助教)】

あと日本食のシェフもそうですよね、日本で修行して帰れないのでボストンに美味しい寿司屋さんがない。

 

【髙島 宗一郎(福岡市長)】

今まさに特区法の中で多様な人材の受け入れということで審議をいただいているのですがこれが認められれば創業したいチャレンジャーとかいま決められている高度人材以外のクリエイティブ分野ももっと人材が入ってこられるようにして、今入ってこられるようにしても、ちなみに今インバウンドはすごく増えているのですが受け入れ体制が全然できていなくて旅館がたりません。日本でコンベンションを使用としても施設がない、いろいろな諸問題もあるので複合的にチャレンジをしてゆきたい。海外に方を受け入れてゆくのにはいろいろな整備が必要だと思います。

 

【平 将明(内閣府副大臣)】

安倍総理が集中取組期間2年といいましたから、まずこの国会で特区はいま参議院にありますのでこれをまずは成立させて地域限定保育士さんなんかを活用してもらうようにします。

もう二回ですよね、臨時国会と来年の通常国会ですべての岩盤規制について道筋をつけたいと思います。八田さんの言葉を借りれば一次産業、農業、漁業、林業、いろんな課題があります、社会保障のところもそうだと思います。

秋池さんの話だと「特区に指定されて安心しているのではないか?」というのもあります。私は沖縄なんかは「ネタは沢山あるのに何でもっと来ないの?」と思います。

いずれにしてもまだまだこれからですから気合をいれて頑張っていかなければと思います。

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