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タワーマンションの大規模修繕、一般的なマンションとどう違う?

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2015年は、タワーマンションの大規模修繕工事に関する節目になるという。
そもそも、タワーマンションの大規模修繕工事というのは、一般の大規模修繕工事とどこが違うのだろう? 足場はどうするのか、費用は高いのか、いろいろ気になる点を取材した。
2015年はタワーマンションの大規模修繕工事が急増する節目

一般的にタワーマンションとは、20階建て以上(地上60m以上)の超高層マンションをいう。
タワーマンションは2000年ごろから供給が増加し、2003年に急増した。2015年は、大規模修繕工事の一般的な周期の12年目に当たるため、大規模修繕工事の計画策定や実施をする時期に入っている。そのため、2015年が大きな節目になるというのだ。

筆者の住むマンションは8階建ての一般的なマンションだが、最近第1回目の大規模修繕を終えたところだ。外壁躯体の補修、塗装、防水、建具・建築金物の修繕、クリーニングなどが行われた。建物の周囲に足場を組んで、養生シートといわれる網目状のシートをかぶせて、足場を作業員が移動して外壁やバルコニー部分の補修が行われるのだが、大規模修繕工事が終わるまでの数カ月はこの状態が続いた。

一般的なマンションでも数カ月かかるのに、60mを超えるような高さがあり、戸数も多いタワーマンションなら、足場はどうなるのか? 工期はどのくらいかかるのか? 工事費用は高くなってしまうのか、むしろ戸数で割る分一住戸当たりの費用負担は安くなるのか? 疑問は尽きない。

そこで、タワーマンションの大規模修繕工事で実績のある、管理会社の三井不動産レジデンシャルサービスに聞いてみることにした。30階を超えるタワーマンションは施工方法が大きく変わる

「タワーマンションといっても、30階以下の場合は一般的なマンションとあまり違いがありません」と教えてくれたのは、技術工事部参事の平川秀夫さん。30階を超えるか超えないかで、施工方法が大きく変わるというのだ。

30階を超えるタワーマンションとなると、高さが90~100m以上になること、戸数規模が大きいこと、建てられた時代に応じた最先端技術が使われていることなどの特殊性があるため、一般的な大規模修繕工事とは違いが生じるからだ。

まず足場については、一般的なマンションで使われる枠組足場ではなく、屋上から吊り下げ昇降させる「ゴンドラ」か「移動昇降式足場」を使うことが多い。ゴンドラはロープで足場を移動させるのに対し、移動昇降式足場は建物にレールを取り付けて足場を移動させるもの。特に45mを超える高さになると補強が必要となるため、ゴンドラや移動昇降式足場による足場計画をすることが多くなるという。

【画像】(左)一般的なマンションで使われる枠組足場、(右)タワーマンションで使われるゴンドラ足場(定置式ロングスパンゴンドラ)(画像提供:三井不動産レジデンシャルサービス)

いずれの場合も、足場には養生シートを張るため、足場のかかっているフロアではバルコニーの視界が遮られることになるが、足場で作業する複数フロアごとに工期が分かれるので、改修が終わったフロアは足場や養生シートから解放される(ただし、足場が上下階を移動するので、大規模修繕工事が終わるまでは足場が通過することはある)。

さすがに、マンション全体がすっぽりと養生シートで覆われるといったことはないのだ。工期の目安は“1フロア1カ月”と長くなる傾向

次に気になるのは、工期や費用のこと。
工期や費用は、タワーマンションの形状(凸凹があってバルコニーを使った移動が難しい等)や基本構造部に使われている建材によって、さまざま。加えて、個々のマンションの管理組合の要望によって、作業工程も変わってくるため、同じ高さのマンションであったとしても工期や費用は大きく異なるという。

工期の目安としては、1フロア1カ月。40階建てなら40カ月=3年4カ月かかるイメージだ(ただし、複数階を同時に施工することが可能であれば工期の短縮も可能)。一般的なマンションの場合の目安となる4~6カ月と比べると確かに長い。

タワーマンションの工期が長くなる理由はいくつかある。足場は作業をするためのものなので、修繕工事のための荷物や作業員を運ぶのは、マンションのエレベーターとなる。基本的には居住者優先なので、エレベーターが使えない時間帯が生じてしまう。加えて、超高層階は風が強いため、強風の日は作業ができないといった工程上の問題もある。

工期の長さはコストに直結するが、その分費用は高くなるのか?
例えば、マンションの屋上防水工事の場合で考えてみよう。タワーマンションの屋上面積は、同程度の戸数の一般的なマンションと比べると小さくなるために、屋上防水工事については工期が短く、戸当たり費用も安くなる。こうした積み上げで費用が変わってくるので、戸当たりの工事費用が一般的なマンションより高いとも安いとも言いがたいというのが実態なのだそうだ。タワーマンションの大規模修繕工事ならではの課題

さて、取材の直前、東京ビッグサイトで開催された「建築再生展2015」で、日本大学准教授の永井香織さんによる「超高層集合住宅の大規模修繕の現状と課題」と題したセミナーが行われたので、筆者も聴講した。

永井准教授と三井不動産レジデンシャルサービスの平川さんは、くしくも同じ課題を挙げていた。
ひとつは、建築当時の最新技術が使われているので、補修方法や補修材料などの技術開発が必要という点。実際の建物を足場の上で補修するという制約のなかで、適切でコストパフォーマンスのよい工事方法や材料を新築時の最新技術に応じて研究開発していく必要がある。

もうひとつは、大規模修繕工事の周期について。一般的なマンションと同じように12年周期ではなく、耐久性の高いものを使って20年周期にすれば、60年間で考えれば5回発生する大規模修繕工事を3回に抑えることができる。

タワーマンションの居住者側の課題は、合意形成だろう。
超高層階ほど風が強く損傷を受けやすい傾向にあるため、居住している階によって大規模修繕工事に対する要望の程度も違えば、工事費用の額に対する考え方も違う。大規模になるほど、居住者間の考え方の違いが大きくなるので、どこまで改修するのか、どういった方法で工事を行い、居住者はどこまで工事中の不便さを容認するのかといった合意形成を、事前に管理組合でしっかりしておくことが大切だ。

永井准教授によると、特殊性がある超高層の大規模修繕は、施工会社がそれに慣れているかどうかで違いが大きいという。確かにいろいろな話を伺うと、超高層と一般的なマンションの違いを強く感じた。今後増えていくタワーマンションの大規模修繕については、業界で知見を共有して、技術開発のスピードを速める努力もしてほしいと思う。●関連記事
中古住宅の新潮流[3] マンションの修繕に合わせて室内も見直そう
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/06/29/92967/

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