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経済開放からわずか4年で急成長 ミャンマーは本当に「豊かな国」になれるのか

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軍事政権によって半世紀近く閉ざされてきた、アジア最後の秘境ミャンマー。2011年に民主化・経済開放後、わずか4年で急成長を遂げている。テレビ東京は長年軟禁状態だったアウンサンスーチー氏(70歳)の自宅を訪問し独占取材。日本人の親友の女性と共に、2015年6月22日放送の「未来世紀ジパング」で紹介した。

民主化運動の中心人物であるスーチー氏は、軍事政権下で14年9か月間自宅に軟禁されてきた。開放後も生まれ育ったヤンゴン市内にある自宅に暮らしている。客間には1947年にスーチー氏が2歳の時に暗殺された、父であるアウンサン将軍の肖像画が飾られていた。
日本人女性が「移動図書館」の導入に尽力

スーチー氏は19歳でイギリス・オックスフォード大学に留学し、哲学・経済学を学び学士号を取得。1972年にオックスフォード時代の後輩であるマイケル・アリス教授と結婚。2人の息子に恵まれた。

1988年、学生による民主化運動が起こり、母親の看病で帰省中だったスーチー氏がリーダーとして立つことになる。1988年8月の初演説には、50万人が集まった。

スーチー氏は家族と離れ、祖国の民主化への道を選び、NLD(国民民主連盟)を結党。1991年ノーベル平和賞を受賞するが、授賞式には出られずに2人の息子が出席した。夫は2000年に他界したが、最期を看取ることはできなかった。激動の人生を送ってきたスーチー氏は、信念をこう語った。

「自分の人生に失望しそうになったり、自分に価値がないと感じた時には、他の人々に何をしてあげられるのか考えることが大事です。自分が手を差し伸べることで、人生が大きく変わる人もいるのです。それが自分自身の生きる目標にもつながるはずです」

イギリス留学時代からの親友だという日本人女性の宮下夏生さんは、スーチー氏の要請でミャンマーの「移動図書館」導入に尽力した。現在5台にまで増えた特製車両は、マツダや日野自動車など日本企業が寄贈している。

テレビもインターネットも普及していない農村では、大勢の子どもたちが到着を待ちわび、みんな貪るように本や新聞を読む。ある少年は「字が読めてうれしい」と目を輝かせていた。
スーチー氏は「心の豊かさ」を訴えるが

移動図書館の意義について、スーチー氏はこう語る。

「若者にとって、読書はとても大切です。私自身、人生の困難を乗り越えられたのも読書が大きな助けになったからです」

さらにミャンマーの貧しさや、多くの若者が抱える収入不安に触れ、「みんな人生を良くしようと経済的な豊かさを懸命に求めています。ただ私は、若者たちに物質的な豊かさだけを求めて欲しくはありません。心の豊かさを持ち続けて欲しいのです」と訴えた。

いまミャンマーは改革を進めるテイン・セイン大統領のもとで急成長し、高級車を所有し豪邸に暮らす富裕層も誕生している。番組では、これを商機とみる日系企業が続々と進出する様子も映し出した。こうした中、格差も生まれており、スーチー氏が求める「心の豊かさ」について改めて考えさせられる。

ミャンマーでこの秋に予定されている総選挙について、日本経済新聞社・編集委員の後藤康浩氏は、「事実上軍事政権の流れをくむ現政権と、スーチー氏率いるNLDの一騎打ち。NLDが圧勝するとみられているが、現状ではスーチー氏は軍事政権が定めた『大統領の条件』に合わず、大統領になれない」と解説する。
民主化のシンボルが政権を持つべきなのか

ただ、ジャーナリストの竹田圭吾氏は、スーチー氏が大統領になるのがミャンマーのためにいいのか?という疑問も呈した。

「民主化・民主主義のシンボルは大事だが、国家の運営がうまいかは別の問題。政権交代した時に、いま安定しているミャンマーの改革や経済がそのままやっていけるか」

しかしいくら「国として成長している」と言っても、格差が広がれば多くの国民は不安なままだ。同じアジア圏というだけでなく、経済的な豊かさを求めた結果、格差が広がっていると感じる日本でも他人事とは思えない。ミャンマーが今後どのように難題を乗り越えていくのか注目したい。(ライター:okei)

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