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“マイナス金利”って何? 低金利時代の住宅ローン返済方法

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マイナス金利という言葉をご存じだろうか。経済ニュースや新聞を読む方は聞いたことがあるかもしれない。マイナス金利とは、現金や債券などの金融取引において金利がマイナスになる場合を指す。最近そこから派生して住宅ローンでも使われる。住宅ローンで払う利息額より住宅ローン控除額のほうが大きく、実質マイナス金利のような恩恵を受けられることを意味するのだ。低金利時代ならではの住宅ローン控除と繰り上げ返済を活用したお得な返済方法を紹介する。
返済開始10年間は控除額次第で実質金利はマイナスに

最近、金融緩和を進める欧州諸国の一部の国債金利がマイナスになったことがあった。本来、お金を借りる側が貸し手に利息を払うのに対して、マイナス金利になると、貸し手が利息を払う。借り手は、お金を借りてなおかつ利息まで払ってもらえるという珍しい現象が起きているのだ。

しかし、住宅ローンにおけるマイナス金利の意味は少々異なる。現在の住宅ローン金利が最低水準にあるのは事実だが、マイナスではない。冒頭で説明したとおり、ローンの利息額よりローン控除などの優遇措置で戻ってくる金額のほうが大きく、実質マイナス金利のような恩恵を受けられることを意味する。

そこで、どうすれば実質マイナス金利になるかを2種類の金利で試算した。1つはイオン銀行などが提示している変動金利0.570%(2015年6月時点)。もう1つは10年間固定タイプで金利0.875%だ。いずれも2015年6月時点では金利タイプ別に最低水準にある値だ。それ以外の諸条件は、ローンの支払い開始は2015年7月、借入額は3000万円、返済期間は35年、ボーナス払いはなしという設定だ。

変動金利0.570%でローンを組んだ場合(以後「金利プランA」)と、金利10年固定0.875%でローンを組んだ場合(以後「金利プランB)、で返済開始から約10年間(2015年7月~2024年12月、以下同)に払う利息額と、約10年間で得られるローン控除額を比較した。なお、住宅ローン控除額はローンの年末残高の1%として試算した。

◎[金利プランA]変動金利0.570%、約10年間の支払いシミュレーション
(※借入額3000万円、支払期間35年、月々返済額 7万8807円、ボーナス払いなし、金利0.570%が10年続くと仮定した場合)

【表1】[金利プランA]変動金利0.570%、約10年間の利息額と控除額の比較

◎[金利プランB]10年固定金利0.875%、約10年間の支払いシミュレーション
(※借入額3000万円、返済期間35年、月々返済額 8万2949円、ボーナス払いなし)

【表2】[金利プランB]金利10年固定0.875%、約10年間の利息額と控除額の比較

「10年固定金利0.875%の約10年間に払う利息額は219万8907円です。一方、約10年間で得られるローン控除額は262万2792円。両者の差は−42万3885円となり、返済開始から約10年間で見ると実質マイナス金利になっていると言えるでしょう」とファイナンシャルプランナーの岩永慶子さんは解説する。
つまり、住宅ローンを借りたことで支払う利息額より、住宅ローン控除で戻ってくる金額のほうが多くなるのだ。
表1・表2の試算のとおり変動金利のほうが低金利で支払う利息額が少ないため、利息額と控除額の差額は大きくなり、戻ってくる金額が多くなる。11年目以降に繰り上げ返済すると支払う利息がぐっと減る

超低金利と住宅ローン控除を活用する返済のコツは2つある。1つは返済期間を長くして返済額を少なくしたり、借入額を増やしたりして、返済開始10年間でもらえるローン控除額を増やすこと。もう1つは控除がなくなる11年目以降に期間短縮型の繰り上げ返済を行い、残った利息を減らすことだ。

具体的には、自己資金を頭金として支払わず、手元に残してあえて借入額を増やす。そして、11年目に手元に残した自己資金などで繰り上げ返済することだ。あくまでも頭金としての資金が用意できている場合に、住宅ローン控除の恩恵を最大限受けるための返済方法だ。

表3は前述の金利プランA(変動金利0.570%)で3000万円の住宅ローンを組んで、11年目に1000万円を繰り上げ返済した場合の試算結果だ。

◎[金利プランA]11年目に1000万円を繰り上げ返済(変動金利0.570%)
(※借入額3000万円、支払期間35年、月々返済額 7万8807円、ボーナス払いなし、金利0.570%が35年続くと仮定した場合)

【表3】[金利プランA]11年目に1000万円を繰り上げ返済した場合(金利0.570%が35年続くと仮定した場合)

11年目に1000万円の繰り上げ返済を行うと、残りの返済期間は25年から13年3カ月に短縮され、支払う利息額も114万5507円減少する。ここまで圧縮できると、35年間で支払う利息の合計よりも当初10年間で受けた住宅ローン控除額のほうが65万1866円多くなる。

次に、金利プランB(10年固定金利0.875%)の場合の試算結果を示したのが表4だ。

◎[金利プランB]11年目に1000万円/1500万円を繰り上げ返済(10年固定金利0.875%の場合)
(※借入額3000万円、支払期間35年、月々返済額 8万2949円、ボーナス払いなし、金利0.875%が35年続くと仮定した場合)

【表4】[金利プランB]11年目に1000万円/1500万円を繰り上げ返済した場合(金利0.875%が35年続くと仮定した場合)

同様に10年固定金利0.875%で借りた場合に11年目に1000万円を繰り上げ返済すると、残りの返済期間は13年2カ月となり、減少する利息額は180万5510円になる。当初10年で受けた住宅ローン控除額には届かないが、利息の総額とローン控除額の差は41万277円だ。

さらに11年目に1500万円を繰り上げ返済した場合の試算結果も出している。この場合は、例えば手元に残していた1000万円に、返済開始から毎年50万円貯めた500万円を加えたなどを想定したものだ。
11年目に1500万円を繰り上げ返済した場合、減少する利息額は227万8662円となる。35年間の利息額とローン控除額の差は-6万2875円となり、繰り上げ返済した場合、実質的にマイナス金利となる。

ここまで試算してきたとおり、現在の金利なら住宅ローンを借りることで、当初10年間は支払利息額を超える控除を受けられる可能性が高い。しかし、ローン控除額を増やすために借入額を増やす返済方法の最大のリスクは金利上昇だ。なぜなら金利が上昇すると35年間で払う利息額が、10年間で得られる控除額をすぐに上回ってしまうからだ。急な金利上昇に対処するには、資金を余分に手元に残し、いつでも繰り上げ返済できるようにしておくことが大切だ。

住宅ローンの借り入れや繰り上げ返済にかかる諸費用などは考慮していない試算だが、低金利とローン控除を活用した住宅ローンの組み方や返済のポイントはつかめたのではないだろうか。

●返済シミュレーション:ノースアイランド 岩永慶子
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/06/25/92612/

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