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落合信彦氏 アメリカが南沙諸島問題で本気になった理由解説

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 中国が、フィリピンとの領土問題が存在する南沙諸島で滑走路を建設し始めたが、これについてアメリカが神経を尖らせている。その背景には何があるのか、落合信彦氏が解説する。

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 中国は極めて「危険なゲーム」を始めたようだ。

 南沙諸島(スプラトリー・アイランド)の珊瑚礁を次々に埋め立てて、3000m級の滑走路を建設している。

 中国外相の王毅は、会談したアメリカのケリー国務長官に対し、「国際法と歴史に鑑みて、南シナ海は中国のものだ」と堂々と言い放った。私なら「じゃあハーグ国際裁判所の法廷に行きましょう」と言うところだが、いずれにせよこの発言はアメリカに対する重大な挑発行為である。

 弱腰のオバマ政権でもさすがにこれは看過できず、アメリカの対応は非常にシビアなものになっている。ただちに海軍が南沙諸島埋め立ての空撮写真を公開し、国防総省は軍の派遣を検討しているとの報道も出ている。

 中国はこれまで、経済的に中国依存が深まるフィリピンやベトナムが反撃しづらいのをいいことに、南沙諸島の埋め立てを急ピッチに進めてきた。

 だが、アメリカはこれを許すわけにはいかない。南沙諸島が中国に取られれば、中国の空母がフィリピンなど他国の領海にさえぎられることなく、太平洋にダイレクトに出られるようになってしまう。これは現在アメリカが安全保障の重心をアジア・太平洋に置くと定めた「リバランス」を大きく揺るがすことになる。だからこそ、アメリカはここに来て南沙諸島問題に本気になったのだ。

 実はこの5月18日、米原子力空母「ジョージ・ワシントン」が横須賀を出港している。ジョージ・ワシントンは西太平洋で2~3か月パトロールした後、カリフォルニア州サンディエゴの基地で、同じ原子力空母艦「ロナルド・レーガン」と交代する予定という。

 なぜサンディエゴに行くまでにそれだけの時間がかかるのか。先日、その疑問についてあるアメリカ人に聞いてみたところ、「南シナ海に寄るとの情報がある」という。なるほど、本来の航路とは逆の南シナ海に寄れば、それだけの時間がかかることも納得できる。

 もっとも、南シナ海に行くには、空母1隻に対して戦艦やフリゲート艦がワンパックで動くことになるだろうから、その可能性は低いはずだが。あるいは、交代する「ロナルド・レーガン」が、戦闘機F18を大量に積み込んで南シナ海に向かう可能性もゼロではない。もしそうなれば、軍事的な緊張感は一気に高まる。

 アメリカは最近になって、中国の膨張主義に対する警戒レベルを上げている。2016年の夏に行われる海軍主催のリムパック(環太平洋合同演習)に、昨年招待した中国を呼ばない可能性が出てきた。実は昨年、リムパックに際して中国がスパイ船(情報収集艦)を派遣し、演習周辺海域で活動させていたというのだ。

別の艦艇が演習に参加しながら、スパイ船はアメリカの艦船や航空機の電子・通信情報を収集していたというのだから、なんとも「危険なゲーム」である。 またアメリカでの企業エスピオナージ(スパイ活動)で6人の中国人が指名手配されたが、中国に帰ってしまっていた。しかし一人がアメリカに戻ったために、空港で手錠をかけられた。
 
※SAPIO2015年7月号


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