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人生を豊かにする「田舎暮らし」のすすめ

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 豊かな自然、人とのぬくもり、自給率の高い生活・・・田舎は都会の憧れに満ちている。
 ストレス社会と言われる現代で、内閣府が2014年に行ったアンケートによると、「農山漁村地域に定住してみたいという願望がある」と答えた人の割合は約32%で、前回調査(2005年)と比較すると約11ポイントも増えた。
 地方移住や「田舎暮らし」に憧れる人は多いが、その一方で田舎は不便だという声も多い。確かに、田舎は不便なところもたくさんあるが、それを補って余りある魅力があるのも事実。
 豊かな自然に囲まれた生活、地元の人々との交流から育まれる幸せ、その土地の中で見つけられる自分の役割…。少し工夫するだけで、毎日がより楽しくなる。それが田舎暮らしの醍醐味だ。

 そんなことを教えてくれるのが、岐阜県加茂郡七宗町神渕で介護老人保健施設「穂」と「カブチ山田クリニック」を経営する医師の山田博愛さんが執筆した『General Practitioner 中山間地域の開業医』(幻冬舎/刊)だ。
 本書は山田さんが自身の日常をつづるブログをまとめた一冊。クリニックや老健での出来事だけではなく、思い出話や近所の人たちとのエピソードも披露されている。

 本書では、2013年5月から翌2014年5月までの七宗町の風景がゆったりと過ぎ去っていく。初夏からはじまり、夏、秋を超えて冬になり、そして春がきてまた初夏を迎える、その季節の移ろいの中でいろいろなことが起こる。

■冬の風物詩イルミネーションは田舎ならもっと楽しめる?
 冬といえば街を彩るイルミネーションだが、これは都会だけのことではない。田舎だからこそ、自分でイルミネーションを作る楽しみもある。
 12月になると、七宗町の家々はまばゆい光に包まれる。防犯や子どもたちの期待に応えて自宅や庭にイルミネーションを飾るのだ。山田さんのクリニックのイルミネーションはたくさんハートの形が浮かぶ凝ったものになっており、「我ながらアーティスティック」とのこと。

 そんな山田さんは「田んぼのあぜ道にイルミネーションを飾ったらどうか」と提案をする。冬の寒空の下にエアーポートの光が浮かび上がるような、幻想的な風景が想像できる真っ暗な田舎では光は防犯の役目を果たすので、あぜ道が夜の散歩道やジョギングルートとなる。田舎の良さを享受しながら都会的なスマートなライフスタイルを取り入れることができるかもしれない。
 実は田舎は不便ではない。工夫によっては都会以上に豊かな生活を得ることができる場所だ。山田さんはそんな田舎に満ちている可能性を自ら発信したいと積極的だ。

■ジョギングしているといつの間にか「脇」がいっぱいに…
 山田さんはジョギングを趣味としており、たびたびジョギング時のエピソードが出てくる。
 中でも面白いのが、ジョギング中に町の人たちからいろいろなものをお裾分けしてもらうというエピソード。いただいたものを両手で抱えて走ることになるので、ちょうどラグビーの練習のような感じになってしまうのだとか。
 また、12月の寒い季節、ジョギング中に薪ストーブ小屋の前を通り過ぎようとすると「ちょっと一杯やっていきなよ」と声をかけられる山田さん。「お言葉に甘えて」と小屋の中に入り、鹿肉とお酒を楽しんでから、ほろ酔い気分で再び走り始める。こうした山田さんと町の人たちの交流は何ともほほえましく、そしてうらやましささえも感じる。

 田舎暮らしでは、同じ集落はもちろんのこと、同じ町の中にもたくさんの知り合いが増える。都会では味わえない濃い人間関係が生まれるのだ。
 競争が激しく同僚でさえも敵になる可能性のある都会とは違い、田舎では生きるために助け合いの精神を育む必要がある。モノは最低限しかない。だからこそ、人間関係は大切になるのだ。
「何も無いから全てがある」
 これは10数年前、山田さんが七宗町にクリニックを開業したばかりのときに、若者の田舎ばなれ対策の一環として県から依頼を受けて書いた原稿の表題だ。
 確かに、田舎には「何も無い」のかもしれない。しかし、「何も無い」からこそ、自分が隣人と協力して築いていかなければいけない。そこにこそ、人との交流から生まれる「幸福」があるのではないだろうか。

 本書には、人生を豊かにするヒントが満載だ。あなたも「田舎暮らし」の喜びを知り、いずれは田舎に住むことを検討してみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部)


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