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かつて橋下徹氏と縁があった大前研一氏 支援諦めた経緯語る

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 大阪市特別区設置住民投票で大阪都構想が否決されたとき、橋下徹大阪市長は任期満了後に政治家を引退すると表明した。この政治家引退表明について、大前研一氏は潔いと評価することは到底できないと断じている。橋下氏はなぜ、みずからが掲げた改革を実行できなかったのか、大前氏が解説する。

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「大阪都構想」の是非を問う住民投票で敗北した橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)が政界引退を表明してから1か月が過ぎた。しかし、今なお「復活」構想が取り沙汰されるなど、引退後をめぐる議論が喧(かまびす)しい。

 当初は、記者会見で「負けは潔く認めます」と言った橋下市長を文字通り「潔い」とする声も多かった。しかし、橋下氏が何を残したかを考えれば、“潔い退き際”と評価することは到底できない。目的を達成できなかった理由をもっと謙虚に反省すべきである。

 そもそも私は、橋下氏が大阪府知事に就任した当時から応援してきた。橋下氏は私の著作をほぼすべて読破し、中央集権から道州制に移行する「平成維新」の構想を実現したいと言ってきた。そして「大阪維新の会」を立ち上げる際に「維新の会」の名称を使うことについても打診を受け、快諾したという経緯がある。

 以前から私はずっと「無駄な喧嘩はやめたほうがいい」と、口を酸っぱくして橋下氏に忠告してきた。しかし、彼は次第に聞く耳を持たなくなり、前述の従軍慰安婦問題をはじめ、大学教授や「在日特権を許さない市民の会」との論争など、無意味な“場外乱闘”を繰り返した。結局、彼は法廷と同様に個々の議論で自分が正しいか正しくないか、いちいち決着をつけなければ気が済まない“弁護士病”が抜けなかった。

 政治家や経営者など組織のリーダーは自分のビジョンを描き、それに向かって周りの人たちを駆り立て、清濁併せ呑んででも、結果を出していかねばならない。逆に言えば、組織のリーダーは個々の議論で勝とうが負けようが関係ないのだ。組織の長である市長も変化を実現してナンボ、である。

 ところが橋下氏は、大阪府知事になるまで大きな組織を率いた経験がなかったから、あちこちで余計な喧嘩を吹っ掛けてはトラブルを起こし、大阪市長としての本来の役割を果たせなくなってしまった。そのため、私は市営バスと市営地下鉄の改革が頓挫し、さらに従軍慰安婦発言問題などで橋下氏が訪米断念に追い込まれた2013年6月末に彼を支援することを一切あきらめて連絡を絶った。

 場外乱闘をやめてくれ、と求める私に対して、彼は「狙うべき旗は憲法8章、第95条」という地方自治改革の「本丸」は見失っていないと言ったが、明らかに全国政党になって合従連衡を繰り返している間に、その本丸を見る目に狂いが生じていた。

※週刊ポスト2015年6月26日号


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