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ブルックリンに学ぶ[1] 手塩にかけた部屋に、身の丈で暮らす

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ブルックリンの北西、ウィリアムズバーグ湾に面して建つ元工場の古いビル。ボロボロの外観に少々ひるみながら中に入ると、中には個性的な世界が花開いていました。今回は、自室を大胆に彩った2部屋をご紹介します。【連載】ブルックリンに学ぶ 住まいとまちのつくり方
5つあるニューヨークのエリアの中でもっとも人口の多いブルックリン(約250万人)。昨今さまざまなメディアでポートランドとともに注目を集めています。そんなブルックリンでは人々はどんな暮らしをしているのか? 住まいやまちづくりのヒントとなるような最新事情をお届けします。大胆に彩る
1.部屋の中で旅するように暮らす2人の、蔦(ツタ)の部屋

白ペンキがちょこちょこ剥げた廊下を進み、重そうなスチール扉をおもむろにノック。ドアが開いて部屋が見えたとたん、同行者が息をのむが分かりました(もちろん私も)。そして、「うぉー!」と歓声をあげながら次々にお部屋にお邪魔する私たち。

外から見ていたビルのおんぼろ具合や、廊下の無機質さからは予想もできない、スコンと広く明るい空間。広い部屋いっぱいに、日光を届ける天井一面のきらめく蔦(ツタ)たち。迎えてくれたのは、はにかんだような笑顔が魅力的なKim Harrison。ここは、彼女がパートナーのHagai Yardenyと暮らす部屋です。

【画像1】もともとはHagaiが住んでいた部屋に同居するようになったKim。「最初からこの部屋が好きだった」とのこと。笑顔が優しい二人でした(撮影:小野有理)

150m2ほどのただっ広いワンフロアに、なんとも無造作に置かれた椅子やソファやテーブルたち。天井から吊られた椅子に座って、「(2頭の愛犬が)この辺を一番好きなの。彼らの好きな場所を一緒に楽しむために、ここに下げてるの」と語るkim。この椅子が彼女の一番好きな場所だそう。

【画像2】お気に入りのハンモック椅子に揺られながら私たちを迎えてくれたKim(撮影:小野有理)

ベッドは朝日で目覚められる窓の側に、集中しやすい暗い玄関横にはワークスペースを。一見、バラバラに置いているように見えた家具たちも、よく聞くと、二人の「したいこと」「過ごしたい時間」が優先されていて、だからこんなに心地よいんだなと納得します。

座りたいところに椅子を持っていき、寝たい場所で寝る。気分が変わると場所を移動して、広い部屋の中を旅するように暮らす。そんな二人の生活が目に浮かびます。だからこそ、彼らの家具は質素で軽やか。ベッドは、古いワイン箱を重ねた上にマットを置いたもの。ベッドボードもワイン箱でつくりました。照明や他の家具も手づくりしたり、友人からもらったり。求める暮らしの形が明確な二人には、存在を主張する重々しい家具より、二人の気持ちに沿って持ち運べる家具がよく似合います。

【画像3】使い勝手がいいのよ、とkimが自慢するワイン箱のベッド。足元側に大きな窓があって、朝日で目覚めるのが好きな二人にとって一番良い場所(撮影:小野有理)

二人が住むような、あまりに広い空間はガランと落ち着かなくて、実は暮らしには不向きと思われがち。壁や家具で区切ったり、ラグを敷いたりして、落ち着くサイズにするのが一般的です。しかし、この部屋はポンと150m2ほども広いのに、明確な仕切りは何も無く、家具もポンポンと置いてあるだけ。なのに、不思議とまとまっていて、落ち着きます。

なんでだろうと、部屋をうろうろして気づいたのが、天井から垂れ下がる青々とした蔦の葉っぱ。ともすると、殺風景でバラバラになりそうな広い空間を、蔦の葉の緑がやわらかに太陽の光を取り込んで、明るく温かい雰囲気をつくり上げているのです。

大きなコンテナに植え替えて、光を当て、天井までの棒に巻き付けて、二人は丁寧に4年をかけて蔦を育ててきました。「部屋づくりはまだ道半ば。これからが楽しいのよ」と笑う二人の、この先の部屋が楽しみです。

【画像4】ベッドスペースとリビングを分ける蔦のコンテナ。横幅150cmほどのこの大きな箱を見つけたときは、蔦を育てるのにぴったりと小躍りしたそう(撮影:小野有理)

【画像5】キッチン。部屋の奥まで蔦が絡まる(撮影:小野有理)

【画像6】icecreamの大きな看板の下に、整然と並ぶスパイスたち。使い勝手の良いキッチン(撮影:小野有理)2. 場所の意味に囚われない。自分で編集し続ける部屋

Chiristoの部屋は、実は2度目の訪問。初めてこの部屋を訪れたとき、彼のユニークな色彩感性あふれる部屋に惹かれ、2時間ほどもじっくり座って話を聞きました。再訪して、改めて彼のものづくりへの情熱に感銘を受けることになりました。

【画像7】リビングから見たキッチン部。キッチンもすべて手づくり。明るいオレンジがポイントだ。引出しの取手はアンティークのフォークだったり細部まで彼の感性が生きる(撮影:小野有理)

Christoがこの部屋に移り住んで約10年。約30年前に、アフリカからニューヨークに渡ったアーティストは、今は会社経営者の顔も持ちつつ、好きな仕事に没頭しています。そんな彼にとって、部屋は一番の自由の象徴。その時々の感性で手を加えられるように、可変性を重視して部屋づくりをしてきました。

「意味を決めつけたり、デザインしきっちゃいけない」というように、彼の部屋で目を引くのは、天井から垂れ下がる大きなカーテン。大胆な赤のカーテンや白色の大きな布が、おもむろに空間を仕切っていて、開いているときと締めたとき、まったく違う表情が印象的です。最近ではairbnbで人を迎えられるように、カーテンで仕切った空間にベッドを置いて、部屋にもしました。

また、玄関すぐの窓辺には、古いフローリング材をつなげ曲線にカットした広い小上がりが。大きな丸いテーブルの周りに、30人が座れるほどの広さを確保して、親しい仲間とのホームパーティを開くそう。窓から一望できるワラバウト湾を楽しみながら、外と中を行き来して、バーベキューも楽しんでいるとか。

部屋の奥に見える小さな窓は、実は浴室の窓。「バスタブにつかりながら、外のブルックリンの景色が見たかった」と、空のバスタブに浸かって眼の高さに窓をつけました。自分の一番いいように部屋をつくる。そんな彼のスタンスが、随所に表れる空間でした。

【画像8】浴室の窓から部屋をのぞく。キッチン、リビングを通り越した先に広がる大きな窓から、夜景が綺麗に見えるそう(撮影:小野有理)

【画像9】ワラバウト湾を一望するバルコニー。夏はここでバーベキュー(撮影:小野有理)

【画像10】キッチン。照明もシンクも、ホームパーティするときの使い勝手を考えて向きを決めた(撮影:小野有理)

今回ご紹介した部屋はどちらも、自分の思うままに大胆に空間に手を入れた部屋でした。どんな人が住んでいるのか、どちらの部屋も入ってすぐに連想できるほど部屋は人を表します。次回は、日本では見たことが無い「家の中の家」をお届けします。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/06/19/92416/

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