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「雇い止め」が続出する労働者派遣法改正案の問題点

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改正労働者派遣法のポイント

現在、国会提出中の労働者派遣法改正案をめぐり、与野党間では未だに対立が続いています。まずは、今回の改正案のポイントについて確認しましょう。

1)一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区別を廃止し、労働者派遣事業を全て許可制とする
2)専門26業務を廃止し、受け入れ期限を一律最長3年にする
3)派遣労働者の均衡待遇を推進するため、現行の規定に、派遣元に対し派遣労働者の均衡待遇の確保の際に考慮した内容の説明義務を追加。また、現行の規定に加え、派遣先に対し、同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金の情報提供、教育訓練、福利厚生施設の利用に関する配慮義務を追加。
4)派遣労働者のキャリアアップを図るため、派遣元に対し、計画的な教育訓練やキャリア・コンサルティングを義務付ける 等

派遣労働者の長期雇用が不可能に

これらの改正点の中で、最も大きな影響が出るといわれているのが2の「専門26業務の廃止、受け入れ期限の一律3年」です。専門26業務とは、労働者派遣法で定められた特定の26業務で「プログラマー」「設計」「OA機器オペレーター」など、派遣期間制限のない業務のこと指します。雇用関係の多様化により派遣労働者は急増し、全国で126万人(平成26年統計 厚生労働省)になりますが、そのうち13万人の派遣労働者が法改正の影響によって失業する可能性が懸念されています。

専門26業務の中でも、3分の2を占めている事務関係の派遣労働者は、3年という受け入れ制限期間がないというメリットから、企業側も長期間にわたり契約を継続していました。しかし、原案の法改正が通れば同じ職場で働き続けていた派遣労働者は働くことができなくなり、「正社員として受け入れてもらう」「他の事業所に派遣される」、もしくは「退職」という選択肢を迫られることになります。

双方が良好な雇用形態の構築と労働環境の整備が求められる

改正案では、派遣先が正社員雇用するよう派遣会社から申し入れることや、派遣会社が無期雇用として採用するなどの雇用安定措置も義務付けていますが、女性や高齢者などは正社員化の可能性は極めて難しく、事実上「雇い止め」として近い将来、仕事を失うことは間違いないとささやかれています。このような方々に対する措置を、どのように補うのかを政府は早急に検討すべきでしょう。

労働者のキャリアアップや正社員化の助成金活用等が政府の応急的な救済措置となりますが、その場しのぎではなく、中長期的なスパンで企業側・労働者側がともに良好と思える雇用形態の構築と労働環境の整備が求められています。今後、それを実現できるような法改正が必要ではないでしょうか。

(田中 靖浩/社会保険労務士)

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