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Album Review:ジェイミーXX『イン・カラー』 熱狂との距離感を描く精微なダンス・アルバム

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 我が道を往くスタイルも、ここまで徹底していると頭が下がるというより他にない。この6/3にリリースされた、ジェイミー・エックス・エックスのデビュー・アルバム『In Color』についての話だ。ロンドンの3ピース・バンドであるザ・エックス・エックスのエンジンとして機能する男であり、またこれまでにもソロ名義でDJ/リミキサーとして活躍を見せている。

 色彩が放射状の模様を描き、その中に一片の空白が配されたアートワーク(「X」の文字が統一ロゴとしてデザインされた元4人組のザ・エックス・エックスに対し、ジェイミー作品のロゴはその4分の1の存在といったところか)を持つ『In Color』は、ひたすら精微な美しさを追求したハウス/インディー・ダンス・アルバムだ。音源もライヴも平熱のまま、ときにうっすらとメランコリアを忍ばせるザ・エックス・エックス同様、華やかな盛り上がりを見せるエレクトロニック・ダンス・ミュージックのシーンとは一線を画した作風に仕上げられている。

 例えば、本作ではバンドの盟友であるロミー・マドリー・クラフトやオリヴァー・シムも招かれており、滑らかなディスコ・チューンの先行シングル「Loud Places」の中では、ロミーのヴォーカルでこんなふうに歌われている。《静かに押し黙ったまま家へと連れ帰ってくれる、そんな誰かと出会うために、わたしは騒がしい場所へと出掛けるの/でも、あなたはより高みへと連れて行ってくれる誰かと出会うために、騒がしい場所へと出掛けていく》。冷めた断絶と言ってもいいぐらいの、熱狂との距離感。これこそがジェイミー・エックス・エックスであり、その音楽の在り方なのである。

 正式なソロ・アルバムとしては初めてであるものの、ジェイミーは以前にもアルバム作品で大きな注目を集めたことがある。2011年に他界した、米国の伝説的ジャズ詩人、ギル・スコット=ヘロンによる生前最後のアルバム『I’m Now Here』をリワークした『We’re Now Here』だ。いわゆるリミックス・アルバムだが、ジェイミー・エックス・エックスの強烈な個性は、ギル・スコット=ヘロンの息遣いとせめぎあいながら斬新なアート・フォームを完成させていた。

 トリップ・ホップにアブストラクト・ヒップ・ホップ、UKガラージやダブステップといった90年代以降のポピュラーなサウンドに精通し、その上で強烈な孤立感を描き出すジェイミーは、ただ音楽によってのみ、時代も環境も越えて人々と繋がってみせる。強く音楽を求めながらも、いつだって大群衆の熱狂に違和感を覚えて馴染めない。そんなリスナーにこそ、ポップ・ミュージックの真の懐の深さを伝える『In Color』は、響くはずだ。

〈Text:小池宏和〉

◎リリース情報
『イン・カラー』
2015/06/03 RELEASE
BGJ-10235 2,371円(tax out.)
※ボーナストラック4曲、歌詞対訳、ライナーノーツ付

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