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3割打者が3打席目で初ヒットを打つ可能性は? 統計学で解く

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 プロ野球中継を見ていると、「今日は2打席凡退しているから、次は打ちそうですね」と解説者が言った後に、本当にヒットが出ることがある。これは、たまたまなのか。解説者の見る目がいいのか。統計的にはどうなのだろうか。

 『統計力クイズ』(涌井良幸/著、実務教育出版/刊)は、身のまわりのさまざまな統計現象に焦点を当て、経験や直感だけでなく、統計的にどれだけ正しく判断できるかをクイズ形式でチェックする一冊だ。
 スポーツの世界ではデータが重宝される。野球は打率や防御率など、さまざまな数字があるが、野球関連の数字として打率、ドラフトの抽選について触れている。

■3割打者が3打席目で初ヒットを打つ可能性は?
 3割打者のジローは、2打席までノーヒットなので、3打席目はヒットの可能性が高まるのか? 3割バッターなのだから3回に1回はヒットを打つ。だから、ヒットの確率は高まるのではないか。では、統計的にはどうなのか。
 打率とは「安打÷打数」のこと。例えば、ジローが今シーズン、100打数30安打だったとする。30÷100=0.3なので、3割打者と評価される。つまり、ほぼ3回に1回の割合でヒットを打つ打者と考えてもいい。これを「相対度数」という。相対度数は、単に起きた度数を全度数で割った平均値に過ぎないので、「今回の事情には触れていない」ことが重要。3割打者に2回凡打が続いたからと言って、3打席目にヒットを打つ可能性が高まるかというと「何とも言えない」というのが答えだという。
3割打者というのは“トータルで見た場合”の話なのだ。

■くじは引く順番で当たる確率が変わる?
 プロ野球のドラフト会議を見ていると、くじ運の善し悪しを感じる人は多いだろう。そもそも先に希望選手の「当たりクジ」を引かれたら、あとは「ハズレ」しかない。だから、くじは先に引くに限る。しかし、「残りものに福がある」とも言う。くじの引く順によって、当たる確率は変わるのだろうか?
 答えは、「引く順番は当たりハズレに関係ない」。例えば、袋の中に1〜5の番号が書かれた5つの玉が入っている。ここから、ランダムに1個取り出す。もし、それが1、2の玉であれば「当たり」、3〜5であれば「ハズレ」とする。最初に太郎が玉を取り出し、玉を戻さないで、次に花子が玉を取り出す順番とする。このとき、太郎と花子の当たる確率はどう違ってくるか?
 1番目に太郎が当たる確率は、5個中2個の当たりくじだから2/5。次に、2番目に花子が当たる確率。5個の玉から1回目、2回目と順々に取り出すのだから玉の取り出し方は20通りになる。そのうち花子が当たるのは8通り。よって、花子が当たる確率は8/20=2/5。くじの引く順によって当たる確率は、変わらないということになる。

 クジを外すことが多いオリックスバファローズはクジ運が悪いイメージがあったり、東北楽天イーグルスは数球団の競合となった田中将大投手や松井裕樹投手をクジで当てているので、いいイメージがあったりする。でも、統計的には確率は同じで、クジを引く人の運ということになるのだろう。監督や球団社長など、球団によってクジを引く人は違うが、運のいい人に任せるのがいいようだ。

 今回あげた野球を例にした事例は、統計的にははっきりとはせず、「運」のような結果になったが、実際に統計をもとにチームの再建に成功した例もある。2000年代前半、メジャーリーグの貧乏球団だったオークランド・アスレチックスは、ビリー・ビーンGMが統計学から選手の評価や戦略を考え、勝てる球団へと変えた。このアスレチックスの再生は、『マネー・ボール』として、本になり、映画化もされた。

 本書では、日常生活や仕事での統計的な事柄をクイズにしている。物事を統計で考えてみるのも、判断を下すひとつの目安になるはずだ。
(新刊JP編集部)


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