韓国MERSのニュースの読み方
【高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長】
韓国MERSは、日本としてもかなり心配なので、マスコミ報道をフォローしている。日本語で読めるということで、聯合ニュース(http://japanese.yonhapnews.co.kr/)が役に立つ。筆者がこれまで注目しているのは、韓国保健福祉部が毎日発表している感染者数である。死者数も関心事であるが、まずは感染者数の推移をみている。
6月10日、「まだまだ安心できない。9日の予測値は92人でまだ指数関数的増加傾向。10日、11日の予測値は112人、136人。これを下回るかどうかで勢いがわかる」と、ロイター記事「韓国MERS感染者95人に、香港は「渡航自粛」勧告」(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OO2MO20150609)にツイートした。
同時に、「韓国MERS。このまま指数関数的に患者数が拡大すると、あと2ヶ月で韓国国民すべてが感染してしまうという計算。ここ1,2週間で感染拡大が抑えられるかどうかが勝負でしょう 」と書き、下図を添付した。
(表作成 : 政策工房)
これに対して、1000以上のツイートがあったので、「韓国MERS。2ヶ月で韓国民全員というのは、あくまで「指数関数的な拡大」が続ければという前提。普通の感染症モデルでは、拡大の逆のフィードバックもあるので、そうならない。発生当初だけ「指数関数的な拡大」。かつて統数研で勉強したこと http://www.ism.ac.jp/editsec/toukei/pdf/54-2-461.pdf」と注釈した。
その後、毎日データを追加していたが、14日「韓国MERS。データ追加。とりあえずネズミ算的なところからは出たような。といっても沈静化にはかなり先だろうけど」とツイートし、下図を添付した。
翌15日、「韓国MERS。ネズミ算からは脱出したと思うが、下図はあくまで希望的な観測」とツイートして、ネズミ算モデルではなく、「ロジスティック飽和モデル」に変更し、下図を添付した。
(表作成 : 政策工房)
18日には「韓国MERS。データ追加、希望的予測。韓国保健福祉省の目標からみて似たような希望的観測をもっているのでしょう」と、NHKニュース「今月末には感染者出ないように」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150618/k10010118431000.html)にツイートして、下図を添付した。
(表作成 : 政策工房)
飽和感染者数(上限)が250人から190人に下がってきており、沈静化の兆しは見えている。ただし、予断は禁物である。
この「ロジスティック飽和モデル」は毎日新しいデータで修正している。こうすれば、より実態把握でき、先が読めると思う。実際、当初は感染者数の急増がニュースであったが、最近ではその他の死者数などの話題が前面に出てきた。これは、予想通りに感染者数が低減しているからだ。
マスコミ報道は、韓国MERSでは過度におどろおどろしく扱うので、それに過剰に反応しないためである。
霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!
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