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【基地局探訪記 その5】 名古屋駅を狙い撃ちする「バズーカ」の威力

スマホやケータイは電波でネットワークとつながっている。その中継地点となっているのが「基地局」だ。全国にある基地局の多くは電柱のようなコンクリート柱や鉄塔にアンテナを付けたオーソドックスな形をしているが、なかには個性的な特徴をもったものもある。こちらの連載では、TIME & SPACE編集部が各地をめぐり、そういった「変わりダネ基地局」を紹介していきます。

2本のバズーカが、名古屋駅ホームの通信を支える

名古屋は言わずと知れた、東海地区の中核都市。その玄関口の名古屋駅は、JRと私鉄、地下鉄各線を合わせると、1日100万にも及ぶ人が乗り降りする、日本でも有数の巨大な駅だ(ちなみに、日本最大の駅は1日300万人以上が利用する新宿駅)。

ここには、街中ではなかなか見かけない、ちょっと珍しい形と名前のアンテナを持つ基地局がある。その名も「バズーカ式八木アンテナ」。名古屋駅前のビルの屋上から、文字通りバズーカのように新幹線のホームを狙い撃ちする、人を傷つけない、名古屋駅の通信を支えるためのバズーカだ。

名古屋駅前のビルの屋上、看板の隙間から、スナイパーのように新幹線のホームを狙うバズーカアンテナ。新幹線が名古屋駅に着くたびにたくさんの人が乗り降りし、そのときに多くのトラフィック(通信量)が発生する。それでも滞りなく通信できるのは、このバズーカのおかげだ

なお、バズーカが2本あるのは、対応する周波数帯の違いによる。細めでシュッとしているのが高速通信に適した「2GHz帯」のもの(写真上)、ちょっと太めでがっしりしているのが「プラチナバンド」でよりつながりやすい「800MHz帯」のものだ(写真下)。

もうひとつ補足を入れると、名前にある「八木アンテナ」とは、TVの電波を受信するのによく使われる、魚の骨のような形をしたアンテナのこと。戦前の1926(大正15)年に日本の研究者が開発したもので、研究者の名前から「八木アンテナ」と呼ばれる。TVの場合は電波の受信に使われるが、原理を応用して電波の送信にも利用されている。

なぜ、バズーカ形状でなければならないのか?

さて、名古屋駅の新幹線のホームは、どうしてバズーカに狙い撃ちされることになったのか――。というのが気になるところだが、その前に、基地局がどんなふうに電波を出しているか、その仕組みをざっと押さえておこう。

ひとつの基地局は、おおよそ円形に数百mから数kmにわたってエリアをカバーし、このエリアが重ならないよう基地局を配置するのが基本形というか理想形だ。エリアの重なりを避けるのは、複数の基地局からの電波を受信する場所では電波の干渉が起こり、通信品質を劣化させる要因になるからだ。

だが、現実はなかなか理想通りにはいかない。地形や建物の影響で電波が遮られることもあれば、さまざまな理由で建てたいところに基地局を建てられないこともある。そういう場合、ある程度のエリアの重なりは承知のうえで基地局を建てることになるのだが、とはいえ、電波の干渉は最小限に抑える必要がある。そのため、円形に電波を出すアンテナではなく、狙いたいところだけに届く特殊な性質のアンテナが用いられる。

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