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嫌われ者の「パイナップル酢豚」をアップデートする

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佐々木 俊尚

作家・ジャーナリスト

美食でもコンビニ弁当でもなく、シンプルで健康的な食事を楽しむことが、これからの生活の軸になっていくと提唱。「家めしこそ、最高のごちそうである。』『新・家めしスタイル』の2冊の本で新しい家庭料理を提案している。

「不味い料理」というと筆頭にあげられることが多いのが、パイナップル入りの酢豚。

「なんで料理に果物が入ってるんだ」「甘くて気持ち悪い味」とか、さんざんに言われています。でも生の新鮮なパイナップルってそんなに甘くないうえに酸味が強くて、柑橘類の味に近いですよね。柑橘をサラダなどの料理に使うのは一般的だし、鴨のオレンジソースはフレンチの定番料理ですから、パイナップル料理だってちゃんと作れば不味くはならないはず。
じゃあどうしてパイナップルの酢豚が不味いと思われてきたのか。わたしなりに不味いポイントを整理してみると、以下のような点が問題なのじゃないかと。

①そもそも缶詰のパイナップルを使っているから、甘ったるくて不味いのでは?
②日本風の酢豚はケチャップを使ってる。ケチャップと中国料理ってそもそも組み合わせとして変。
③そしてケチャップの味付けのあんかけに、ニンジンとかピーマンとかの食感はどう考えても合わないように思う。

だとすれば、この逆張りをすれば旨いはず。つまり、生のパイナップルを使い、ケチャップを使わず、余計な具材を入れないシンプルな酢豚を作ってみればいい。
酢豚の原型は豚肉を揚げてあんをからめた「糖醋肉(タンツゥロウ)」や「古老肉(クーラゥロウ)」などの中国料理で、野菜の具材はほとんど入れないもののようです。だったら中国本場風に酢豚の調味をアップデートすれば良いのでは。

前に上海旅行をした時、現地在住の中国人のグルメな友人に、地元の美味しい店に何軒も連れていってもらったことがありました。そして驚いたのは、スパイスを巧みに使った上品な味つけの料理が多いということ。日本の中華料理のような、ケチャップを多用した甘ったるい料理にはほとんど出会いませんでした。
これらの上海料理は伝統的な中国料理というわけではなく、1980年代以降に更新された「ヌーベルシノワ」の一種なのかもしれませんが、日本でもこういう素材感のある美味しい中国料理がもっと広まるべきだと思います。まあ東京でも高級店にはあるんですが、街場の中国料理っていうと相変わらず甘ったるいのが多いんですよね。

中国料理も本気で本場風にやろうとすると、スパイス使いがたいへんなので、今回は「家めし」的にシンプルで手順を思いきって省いた方法で作ってみました。二度ほどトライして会心のできのものになったので、レシピをご紹介しましょう。

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<材料>豚肉(ヒレまたはロース)・フレッシュパイナップル・にんにく・しょうが・長ネギ・かたくり粉・黒酢・オイスターソース・紹興酒・砂糖

用意するものは、まず豚肉。肉中心の料理なので、油の多いバラ肉よりは赤身のヒレ肉やロース肉の方がいいと思います。ブロックで買ってくること推奨。そして生のパイナップル。丸ごと買ってきてもいいし、少量つくるのならカットパインでも。それからにんにく、しょうが、長ネギ。そして調味料としてかたくり粉、黒酢、オイスターソース、紹興酒、砂糖(やさしい味つけにするのなら、紹興酒じゃなくて日本酒に、また砂糖をみりんに変えるなどもいいと思います)。

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